立憲民主党は3日総務省を訪れ、「DV等被害者支援措置としての住民基本台帳閲覧制限等の期間制限の削除等を求める申入書」(以下PDF参照)を宮路拓馬大臣政務官に手交しました。申し入れには、提案者の山内康一衆院議員、ジェンダー平等推進本部長代行の徳永エリ参院議員、同本部事務局長の打越さく良参院議員、同本部事務局次長で総務部会事務局長の岸真紀子参院議員が参加しました(写真上は、右から山内衆院議員、徳永参院議員、宮路政務官、岸参院議員、打越参院議員)。
今回の申し入れは、コロナ禍において2020年度はDVの相談件数が約19万件と過去最多となっている被害実態を踏まえ、DV被害者保護のため、住民基本台帳閲覧制限等の期間制限の削除等について2点、政府に速やかな対応を求めるものです。
住民基本台帳は、一定の条件のもとに、本人以外の者が住民基本台帳の一部の写しを閲覧し、住民票の写し及び戸籍の附票の写し等の交付を受けることを認めています。他方、DV加害者が、被害から逃れるため転居したDV被害者の住所情報を取得し、危害を加える例があることから、住民基本台帳事務処理要領においてDV、ストーカー行為等、児童虐待等の被害者の支援措置として、住民基本台帳の一部の写しの閲覧申出拒否(以下「閲覧制限」)・住民票の写し等の交付拒否の仕組みを定めています。しかしながら、要領では支援措置の期間を1年と制限していることから、被害者が期間を延長する手続をとらなければ支援措置が終了するため、被害者は1年ごとに役所等へ赴いて手続きをとらなければなりません。
今回の申し入れの1点目としては、現状では充分な根拠なく被害者に手続的負担を強いるものと言わざるを得ず、期間を制限する部分及び関係する部分の削除等を求めています。
2点目は、支援措置の対象とされているDV等被害者(2019年時点で13万7,796人)の住所情報が加害者へ伝えられてしまう「住所情報の漏えい」が起きている現状を踏まえ、この主たる原因である自治体担当者の理解不足やミス、自治体部局間や自治体間の連携不足等を防ぐため、自治体への支援として(1)研修・マニュアル整備への支援(2)連携強化への支援(3)情報システムでの対応への支援――等、自治体が必要な措置を講ずるための支援をおこなうとともに、自治体情報システムの標準化にあたっては、全ての標準化基準において、DV等被害者の住所情報の漏えいを防止するための必要な措置を定めることを求めています。
申し入れ後、記者団の取材に応じた山内衆院議員は、「命にかかわる切実な問題」だと強調。宮路政務官との面談では、夫のDVを理由に離婚した妻と子どもの住所を自治体の窓口が事情を知らずに情報を出してしまった問題など具体的な事例を伝え、早急な対応を求めたと報告しました。総務省および法務省はこうした実態を理解しているが、現場の市町村など自治体窓口が誤って情報を出してしまうケースがあるとして、そうしたヒューマンエラーが起きないように、研修やマニュアル整備が必要だと指摘。支援措置の期間を1年と制限していることについては、宮地政務官から、期間を制限する部分の削除は「必ずしも簡単ではない」旨の発言があったとして、「基本的には情報は開示すべきものであり、例外措置については1年が原則だということだが、通知のみで法改正の必要もない。担当者のちょっとしたミスで事件のようなケースもある。政治の判断でできることはしっかりやってほしい」と述べました。
2021年6月3日 DV等被害者支援措置としての住民基本台帳閲覧制限等の期間制限の削除等を求める申入書.pdf
https://cdp-japan.jp/news/20210603_1473