「非正規雇用処遇改善法案」を衆院へ提出しました。
同じ仕事でも、非正規雇用などを理由に賃金が低くなることが多く、不公平です。また、女性の賃金水準は男性の水準の7割台にとどまり、賃金格差が大きく開いたままです。2018年の「働き方改革関連法」により、正規労働者と非正規労働者との間の待遇格差の是正を図るための枠組みが整備されました。しかし、待遇格差の有無を判断する基準が明確でないなどの問題が残されており、待遇格差の是正は十分に実現されていない状況です。
本法案は、現行制度の不備を改めるため、以下の規定などを盛り込んでいます。
- 正規・非正規労働者の間で禁止される待遇差について、「不合理な待遇」から「合理的と認められない待遇」に変更し、禁止範囲を拡大すること
- 非正規労働者を正規労働者と同視すべきかどうかは、職務の内容や配置の変更の範囲が実質的に同一かどうかで判断すること
- 待遇に関する事業主の説明責任を強化するため、待遇の相違の内容や理由のほか、賃金体系等の基準、待遇の決定方法、教育訓練の実施の状況、福利厚生施設の利用規則等を説明事項として追加すること
- 派遣労働者の処遇を改善するため、派遣元での労使協定による待遇の決定ではなく、派遣先で通常の労働者との均等・均衡を考慮して待遇を決定する方式を原則とするための方策や、労使協定方式の場合における過半数代表者の選出手続の適正確保のための方策について、政府が検討すること
法案提出後、筆頭提出者である西村智奈美代表代行は、本法案が3年前に提出したものから少しバージョンアップをして再提出するものであること、2020年の最高裁判決(メトロコマース事件、大阪医科大学事件)で、非正規労働者に退職金やボーナスが支払われないことが不合理とは言えないと判断されたことが本法案の背景にあること、本法案の効果は格差の存在を主張しやすくなって処遇改善が可能になること等であることを説明しました。その上で、西村代表代行は「(政府の)全世代型の社会保障制度改革の法案が今出ているが、どう見ても全世代型じゃないと思う。全世代型といえばやはり子育て、ここはもうずいぶん前に含まれるということになったけれども、やはり就労というものも、そこにきちんと入れなければいけない。そのことによって、全世代型ということを進めていくんだという私たちの姿勢でもある」と述べました。
法案提出者は、西村智奈美、阿部知子、山井和則、小川淳也、吉田統彦、野間健、井坂信彦、早稲田ゆき、石川香織、吉田はるみ、おおつき紅葉各衆院議員です。