枝野幸男代表は7日、日本若者協議会主催の公開ディスカッションイベント「日本版ユース・パーラメント2021『若者から政党への政策提言』立憲民主党編」に参加し、若者の政治参加、教育、ジェンダー、労働をテーマに、若者たちが事前にまとめた提言内容を中心に議論しました。コロナ禍のなかでの開催となった今回は、緊急事態宣言下でもあり、オンラインとオフラインを併用。第1部は各テーマの若者代表者が政策を提言、第2部では若者参加者と議員による意見交換が行われ、立憲民主党からは、他に泉健太政務調査会長、西村智奈美衆院議員、塩村あやか参院議員が参加しました。
日本版ユース・パーラメントは、スウェーデンや英、独などの若者議会を参考に、日本若者協議会が2015年から開催している、各党への政策提言イベントです。
開会にあたって枝野代表は、同イベントが今年6年目を迎えることに「政治参加を継続していくことが難しいなか、その輪が広がり幅広いご提言を頂き、ありがたい機会だと思っている。そっくりそのまま使いたいものもあり、パネルディスカッションを通じて議論を深めたい」とあいさつしました。
学生からの提言では、「若者の政治参加」については特に、「主権者教育の拡充」をめぐり、「学校内民主主義の実現」をはじめ具体的な提案が紹介されました。校則の改正や教職員の働き方の改善など、若者にとって「社会」である「学校」に働きかけることでルールメイキングに参画するという、学校内民主主義の実現により「政治的有効性感覚」を育てていくことが重要だと強調。「理解のある校長先生だったから改正できた」といった偶発的なものではなく、恒久的に続くような制度作りが必要だと説きました。
泉政調会長は「政治参加を当たり前なものにしていくこと。若者にとっては学校が社会でもあり、主体的に行動していくこと、学内の民主化はとても大事。学校のインフラの改修についても生徒の意見を求めるなど、今のルールでもやれることをやっていくべきだと思う」などと話しました。
「教育」については、コロナ禍での経験を踏まえての「大学教育の拡充」や「初等中等教育の見直し・拡充」「教育費負担軽減」「若手研究者の待遇改善」などを挙げ、「これからの社会を担えるよう、経済的な理由により負担を抱えることのない社会になる政策を作ってもらいたい」と求めました。奨学金制度の拡充を求める声に対し、西村議員は「給付型の奨学金を増やしていきたいと考えているが、財務省は長期的に財源が必要なことについて消極的。教育は未来に対する投資であり、そこを抜きに国造りは語れない」と表明。枝野代表は、米国では日本の貸与型奨学金にあたるお金はすべて「教育ローン」だと訳され議論されていると指摘し、「もう『貸与型奨学金』という言葉の使い方はやめませんか。当事者である皆さんが、リアルに自分の問題として運動を盛り上げていくことが政治参加になる」と逆に提案しました。
「ジェンダー」については、「包括的性教育の促進」「性犯罪防止に向けた体制づくり」「ジェンダーギャップの解消」などを列挙。ジェンダーギャップの解消をめぐっては、社会のジェンダーに対する風潮が、幼少期からの男女のアンコンシャスバイアス(無意識での「ものの見方やとらえ方の歪みや偏り」)の習得といった形で影響していると指摘しました。塩村議員は、日本では女性議員が少ないがために、世界では動いているのに日本では動いていない問題が多いとして、「女性が社会を変えていくことはジェンダー平等の視点からも重要」だと話しました。
労働に関しては、中学校の社会科教師を目指す学生から、特に教育の労働環境改善を提起。文部科学省がSNSで始めた「#教師のバトン」プロジェクト(※)にも言及し、「新しい時代に合わせ得た主権者教育もプログラミング教育も、教員の働き方改革なしには実現できない。教員には生徒指導と教科指導の2つに専念させてほしい」と訴えました。
※ 文科省のプロジェクト(https://www.mext.go.jp/mext_01301.html)で、教職を目指す学生や社会人に、現職の教師が前向きに取り組んでいる姿を知ってもらうことなどを目的に始まったもの。一方で、同ハッシュタグには悲惨な教員の体験談が寄せられています。
第2部では、オンラインで参加した学生が、性的マイノリティの権利をめぐり、自民党が公表した法案では差別禁止ではなく「理解増進」としていることに、「マジョリティの理解不足が原因でマイノリティの権利が侵害されることがあっていいのか疑問だ」と指摘しました。枝野代表は、立憲民主党はLGBT差別解消法案と同性婚を可能にする婚姻平等法を提出しており、いま与党と協議をしているところだと説明。その担当者でもある西村議員は「高い関心を持ってもらっていることを知り励まされた。ぜひ後押しをお願いしたい」などと呼びかけました。
最後に枝野代表は「有意義で楽しい時間を過ごさせていただいた。広い視野で自分のこととつなげて政治を語っていただいた」と感謝の言葉とともに、こうして政治に関心を持っている若者はもちろん、まだ関心を持っていない若者らに対してどうアプローチしていくか、知恵と工夫・努力がいると課題も述べました。泉政調会長は、頂いた提案を今後の党の政策に活かしていきたいと語りました。
https://cdp-japan.jp/news/20210507_1329