枝野幸男代表は13日国会内で記者会見を開き、衆院選挙に向けた「 #政権取ってこれをやる 」の第2弾として、選択的夫婦別姓制度の早期実現や、LGBT平等法の制定など多様性や人権に関する政策を発表。「本当に基本的な、重要なテーマでありながら長年にわたって自民党が多数を持っている状況の中では実現できてこなかった。だからこそ、政権をお預かりしても簡単ではないが、国民の皆さん、そして他党の皆さんなどにもご協力をいただき、必ず実現するという強い意志で進めていきたい」と力を込めました。

 今回の第2弾で発表したのは、「多様性を認め合い『差別のない社会』へ」と括った(1)選択的夫婦別姓制度を早期に実現(2)LGBT平等法の制定/同性婚を可能とする法制度の実現を目指す(3)DV対策や性暴力被害支援など、困難を抱える女性への支援を充実(4)インターネット上の誹謗中傷を含む、性別・部落・民族・障がい・国籍、あらゆる差別の解消を目指すとともに、差別を防止し、差別に対応するため国内人権機関を設置(5)入国管理・難民認定制度を改善・透明化するとともに、入国管理制度を抜本的に見直し、多文化共生の取り組みを進める――の5項目です。

 枝野代表は、初当選以来公約に掲げてきた、自身のライフワークでもある選択的夫婦別姓制度について、「10年ぐらいで実現できるだろうと思っていたが、もう間もなく30年になろうとしている。自民党の中で時々前向きな声が聞こえるが、政権を中枢で握ると腰砕けになってしまう。やはり政権を変えなければ実現できない」と主張。LGBT平等法の制定や同性婚を可能とする法制度の実現については、「本来であれば多様性が1つのキーワードである、東京オリンピック・パラリンピックの前に、こうした制度の整備は国際社会から強く求められていたものであった」と指摘。今年の通常国会ではLGBT平等に向けて立憲民主党などが提出している「差別解消法案」と、自民党の「理解増進法案」と、与野党で修正協議を重ねていたにもかかわらず成立に至らなかったことに触れ、「残念ながら、自民党内の強い抵抗によって実現できなかった。自民党政権ではできないと判断せざるを得ない」と述べました。

『多様性を認め合い「差別のない社会」へ』(9.13会見資料).jpg

 3点目のDV対策や性暴力被害支援など、困難を抱える女性への支援を充実については、「国際社会の水準から大きく遅れていると言わざるを得ない。しっかりと大胆な一歩を踏み出し、加速をさせていかなければならない」と表明。刑法での性犯罪に関しては、別途説明の機会を設ける旨述べました。4点目については、「インターネット上の誹謗中傷は、そのことで命を自ら絶つという、本当に耐え難い案件まで出ており、迅速な対応が求められている。そして差別に対応するための国内人権機関については、国連、国際社会から日本が求められてもう30年になろうとしている。裁判に訴えないと救済が受けられないということは、残念ながら多くの被害を泣き寝入りさせているという現実につながっていると思う。より容易に、被害を受けた皆さんが申し出ることのできる、それに対して迅速に対応できる、独立性の高い国内人権機関を設置したい」と述べました。

 5点目については、先日の第1弾でウィシュマさんの問題に関連する動画、資料の公開は初閣議で決定し、即実行する考えを明らかにしているとした上で、「入国管理や難民認定が国際社会の水準から大きく遅れているどころか、大変恥ずかしい状況だ。そのことによって人権が侵害され、生命を失っている方もいらっしゃるという人権の問題として許しがたいのと同時に、わが国が価値観を共有する国々と、国際社会の中で連携をしていく時に人権の問題は大きな柱であり、外国等から日本に来られた方に対する人権問題が世界の水準から圧倒的に遅れているという状況では説得力がない。この問題は人権の問題であると同時に、外交の問題でもある。ウィシュマさんのような事件が起こらない入国管理、在留管理の体制、そして国際社会で恥ずかしくない難民認定制度を作り上げていきたい」と意義を説きました。

 記者からの質問では、今回第2弾で多様性・人権をテーマにした政策を発表した理由を問われ、枝野代表は「先日(7日)は、政権をとったら直ちに、まさに初閣議でできることをお示しした」とした上で、今回は議会の理解を得て法制定などが必要であり、加えて自民党がこれまで断固としてやろうとしてこなかったという意味で、大変困難が大きく、中長期的に進めていかなければならないものだと説明。「重視しているのは間違いないが、発表の順番が重要度の順ではない」と述べました。

 「国内人権機関の設置」をめぐっては、法務局でも同様の作業をおこなっているとして、被害を訴えた場合に具体的にどうしたことをするのかとの質問には、入国管理局における人権侵害や、警察や検察による捜査手法や冤罪の可能性などの問題があるなかで、それを所管する法務省に人権救済機関を置いていること自体が人権を救済する機関に足り得ないと指摘。「独立性の高い機関を作り、そこでの勧告等が裁判と同じような効力を持たせることはもちろんできないが、迅速な手続きができ、そこで結論が出たら基本的にそれに従うのだという信頼性のある、一定の実効性のある機関にしたい」と述べました。

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