枝野幸男代表は15日、訪問先の福島県相馬市で記者団の取材に応じました。記者からの主な質問とその回答(要旨)は以下のとおりです。
記者)現時点で党として海洋放出には反対ということか
枝野)現時点でこれを決定することはできない。関係者の皆さんにさえ、きちんとした説明がなされていない状況では決定することはできない。
記者)地元の漁業者の声を直接伺い、どのような感想を持ち、これからどう対応していくか
枝野)説明なき唐突な進め方ということを当事者の言葉で聞かせていただき、われわれが東京で受け止めていた認識は間違っていなかった。したがってこういう進め方は許すわけにはいかないと意を強くさせていただいた。
大変厳しい状況の中にも関わらず、この10年間、大変前向きな努力をし、それが元に戻っているわけではないですが、その努力が実を結びつつある状況だと受け止めました。ただ、そんな中でのトリチウムの問題ということで、より深刻だと思いますし、また風評についての心配と、それに対する対応や説明がなされていないことが、大変政府の進め方としては問題だと受け止めました。
記者)今日の意見交換でより繰り返し丁寧な説明が必要だという話もありました。風評対策も含めてということであれば、具体的にどのようなものが必要か
枝野)まず漁協の皆さん、漁業関係者の皆さんに対して、本当に安全なのかどうか、一方的にではなく、当事者として、いろいろと思っている不安に、丁寧に答えるプロセスがまず必要。同時に、漁業関係者の皆さんだけでなく、国民的にそれが本当だとすれば共有できるプロセスが必要であって、知らないうちに、いつの間にか決めていたというようなやり方では、風評をむしろ拡大させる。2つの意味で地元と全国的な同じレベルではできませんが、両面をちゃんとやらなければいけないと思っています。
記者)タンクの置き場がないなどタイムリミットは迫っていると思いますが、放出ありきではなく、タンクの増設なども含めて検討すべきだとお考えか
枝野)現状でこうした今の段階で、放出を決めることはとてもできない状況ですから。ただいつまでもその状況を続けられないのもよく分かっていますので、早急に本当にこの道しかないのかどうかを含めて、政府として責任ある姿勢を広く説明をしなければいけないと思っています。数年は努力をすればまだ持つという状況なのも認識していますので、この間の、先送りをして唐突にやってきたプロセスをちゃんと反省をして、丁寧なプロセスに着手してもらいたい。
記者)この問題が非常に難しいのは、漁業者や農業者から反発が強い一方、置いておかなければいけない自治体からはとにかく早くしてくれ、これ以上伸ばしてくれるなという声も。そちらの住民に対しては
枝野)これ以上タンクが溜まっていくことについて、それは避けたい、早く減らしてもらいたいという思いにも応えていかなければならないのは当然。まさに政府が丁寧なプロセスを踏んでこなかった、政府は遅れた責任についても、きちんと急いでくれという皆さんに説明すべき。
記者)タンクの話で数年は持つという認識とおっしゃっていましたが、具体的に何年くらい持つという認識か
枝野)逆に言うと、そうしたことを含めて具体的丁寧な説明を政府がしていないのことが問題。いろいろなところから入ってくる間接情報を総合すれば、今日明日にもタンクが足りなくて溢れてしまうという状況ではない。これははっきりしている。
まだ一定程度の増設は可能であることはいろいろな間接情報から認識をしていますが、今の敷地のなかで本当にどれくらい、最大でどこまでしか持たないのか(政府は)全然説明をしていない。一貫して説明しない姿勢がこの問題をこじらせている。早くして欲しいという方、あるいは海洋放出に不安をもっている方、両方に対して無責任な姿勢。
記者)今朝の街頭演説の中でも自公政権との対峙という言葉も有りましたが、福島県では増子輝彦参院議員の自民党会派入りというのがありました。代表はどのように受け止められているのでしょうか
枝野)政治家失格の行動だと、有権者・国民に対して明確に嘘をついてきた裏切りものだと。こうした政治家は絶対に許してはならない。残念ながらこうした方を推薦・応援をしてしまったことについては、大変反省をしていますし、県民の皆さんに申し訳ないと思っています。
こうした政治家として許されないような行動をとる人間を、二度と間違っても応援しないようにしっかりとチェックをしていきたい。
記者)増子議員の件で、一緒に民主政権の時に支えた仲間だと思いますが、その点も踏まえてどうお考えですか
枝野)政治家の出処進退、いろいろなこと、あるいは状況の変化はありますが、ああいう形で直近の選挙を勝っておいて、それで自民党と会派を組むだなんていうのは人として許されない。
記者)菅政権と対決するという意味で、菅政権のエネルギー政策についてはどうお考えですか
枝野)2050年に二酸化炭素排出実質ゼロを目指すという方向が示された時には若干の期待感を持ちましたが、むしろこれにかこつけて原発政策を悪い方に転換しようとしているという姿勢が、この間のやりとりで明確になった。
脱炭素のために新増設も否定しないという状況、新型小型炉の開発をすすめるということですし、処理水の話もこのどさくさに紛れてやろうという意向ではないかと勘繰らざるを得ないと思っていますし、それはあの事故についての原因を含めた検証も十分ではない状況のなかで到底許されるものではない。
https://cdp-japan.jp/news/20201116_0252