立憲民主党は21日、新型コロナウイルス感染症対策本部と会派の厚生労働部会・文部科学部会の合同会議を国会内で開き、(1)前回会議での質問に対する回答(2)東京オリンピック・パラリンピック選手及び関係者の感染状況(3)在インドネシア邦人の帰国状況――について、政府からヒアリングをしました。
対策本部長の逢坂誠二衆院議員は冒頭のあいさつで、20日に申し入れをした際の丸川五輪担当大臣の発言に触れ、内閣官房東京オリンピック・パラリンピック推進本部事務局の虚偽の説明に対し「遺憾だ」との言葉はあったものの謝罪はなく、「隔靴掻痒の感がある」との発言があったとして、「大臣がコントロールできていないことの表れであり、由々しき事態だ」と指摘しました。新国立競技場の整備計画から大会エンブレムデザイン問題、開閉会式の演出の総合統括を務めるクリエイティブディレクターの辞任、直近では開会式の楽曲を担当するミュージシャンの辞任などこれまでの一連の問題を挙げ、「真相究明をしてこなかったツケが今噴き出している」と指摘。「『国民の命と暮らしを守る』ことを基本に据えて議論していきたい」と述べました。
厚労部会長の長妻昭衆院議員は、感染が急拡大するなか「即刻延期か中止を求めたい」とあらためて強調する一方、開会式を2日後に控える中、被害を最小限に抑えるためにどうすべきかを議論したいと呼びかけました。文科部会長の斎藤嘉隆参院議員は、政府が虚偽の説明をしていたことに「無責任極まりない。政権の体質が表出している」と批判しました。
会議では、政府が19日、白紙撤回を表明した公式通達「15分ルール」の取り扱いをめぐり、山井和則衆院議員がいまだに掲示されているホテルがあること、その内容に基づき関係者らが近くのコンビニエンスストア等に外出していることを問題視。「15分ルール」では、短時間の外出は自由となっており、菅総理が掲げる「安心・安全な大会」を担保する目玉として打ち出した、大会関係者と一般人の接触を遮断する感染症対策「バブル方式」の欠陥が明らかになりました。政府は当初、「回収されたか確認中」などとしていましたが、あらためて案内の回収とともに、「プレーブック」のと齟齬(そご)がないよう作り直しを指示すると答えました。東京オリンピックの関係者が感染防止に必要なルールをまとめた「プレーブック」では、コンビニやレストランの利用は原則的に禁止しています。
オリパラ入国者へのPCR検査体制など、この間政府の感染症対策の不備を追及してきた斉木武志衆院議員は、組織委員会の内部資料にある、唾液抗原検査を受けていない未受検者全員に対する「未受検者への対応」マニュアルについて、「未受験者のうち、特に警告が必要な者をIDCC(感染症対策センター)で抽出し、FA(ファンクショナルエリア)に通知」と記載されていると指摘。「誰が作成し、どういう範囲で配布されたものか」「そもそもなぜ未受検者が出てくるのか」「なぜ受検を指示するのではなく、『特に警告が必要な者』に限定しているのか」などとただしたところ、政府は、「組織員会が作成したものではない」「中途半端なもの。最終の資料とは理解できない」などと答えました。斉木議員は、資料に掲載されているURLから大会のPCR検査センターのページ、申請画面につながることから信憑性の高いものだと主張。こうしたやり取りを受け、逢坂本部長は、国民の懸念を払しょくするためにも政府が公式と判断する資料を提出するよう求めました。
斉木議員はまた、組織委員会が海外から訪れる選手やメディアに対して提出、承認を受けるよう求めている、「本邦活動計画書(Activity Plan)」をめぐり、組織委員会職員が書き直して内閣官房(オリパラ事務局)に提出しているという内部告発があるとして、そうした事実があるかどうかを確認。安全・安心な大会を掲げるのであれば、こうして例外を認めるのではなく原則に戻し14日間の隔離を義務付けるべきだと求めました。
そのほか、組織委員会が個人情報保護を理由に選手村での感染者の国名非公表決定について、当該国・地域のオリンピック委員会などが発表していることや、対戦相手の選手らへの影響を踏まえ、見直しを求める声や、濃厚接触者と判断された選手の試合出場をめぐる対応など、さまざまな質問が上がりました。大会開催が迫っているにもかかわらず、政府からは「組織委員会に確認する」との答弁が繰り返され、あらためて組織委員会に出席してもらうようを強く求めました。
【議題1.説明資料】前回会議の宿題返し(議題1①).pdf
【議題1.説明資料】前回会議の宿題返し(議題1② ).pdf
【議題1.説明資料】前回会議の宿題返し.pdf
【議題1.説明資料】前回会議の宿題返し(議題1⑫).pdf
【議題2.説明資料】東京オリンピック・パラリンピック選手及び関係者の感染状況について.pdf
【議題2.説明資料】ホストタウン等における新型コロナウイルス感染症の発生状況について.pdf
【議題3.説明資料】新型コロナ:インドネシアからの邦人帰国にかかる措置について.pdf