立憲民主党など野党は2月16日、旧統一教会問題に関する第39回目となる国対ヒアリングを実施しました。今回は、(1)旧統一教会が元信者からの求めに応じて返金した事例、(2)養子縁組あっせんに関する統一教会への行政指導――等について被害者と被害者弁護士連絡会の方からヒアリングを実施。関係省庁からも話を聞きました。
全国霊感商法対策弁護士連絡会の阿部克臣弁護士は旧統一教会では5月7日に韓国で祝福式(合同結婚式)が予定されていることについて、「祝福を受けると原罪がなくなる」として合同結婚式に参加することは信者にとって大きな目標になっていると説明。一方で、2002年の東京地裁の判決では、合同結婚式の参加に向けた各行為には婚姻の自由を侵害する違法があると判断されており、高裁、最高裁を経て確定していると指摘。「違法性が認められるような行為がなされる可能性が大きい」として注意深く見ていく必要があると述べました。
また、ここ数年コロナ禍でもあったことから、今回大規模なものになることが予想されるとして、多数の信者が現金を持って渡韓することも注意深く見ていく必要があると述べました。
世界平和統一家庭連合のウェブサイトにある「教会改革推進情報 特設ページ」について、2009年のコンプライアンス宣言以降、法令を遵守してきたとしているが、「中身をみると欺瞞的なページになっていると指摘。ページに相談件数が掲載されており件数が少ないとしているが、物品販売を刑事事件化されて以降、そうした手法は控えており、信仰を持たせた上で献金させるやり方が中心になっているとして、そもそも消費生活センターに相談が繋がりにくいといった指摘をしました。
旧統一教会の元2世信者の小川さゆりさん(仮名)は、2009年のコンプライアンス宣言以降で勧誘活動方法の改革(勧誘目的の明示)を主張しているが、小川さん自身が高校生3年生から19歳の頃(2014年から2015年頃)に先輩信者と伝道活動をした際、団体名や宗教団体の勧誘であること告げない正体を隠した勧誘をしていたと告白しました。また、高校生の頃(2011年から2013年)には、母が日常的に教会の指示を受けて正体を隠して勧誘していたことは明らかだと述べました。
また、「宗教団体は人が幸せになるためのものであり、公益性によって税制優遇されている。改革を何度も主張すること自体、おかしいこと」だと指摘。被害者がこれ以上生まれないためにも早急に旧統一教会の(宗教法人法上の)解散について議論を続けていただきたい」と述べました。
さらに、解決していない問題として(1)マインドコントロール下にあって韓国に嫁いだ日本人被害者(2)養子縁組にみられる宗教2世の権利侵害やそうした親から逃げる場所がない(3)劣悪な環境で育った宗教2世が精神的な治療を必要とする(4)宗教2世が老後資金のない親を介護しなければならない(5)海外への送金(6)違法行為を繰り返す宗教を規制・監督する法律や監督省庁がない―といった項目を挙げ、反セクト法を作って欲しいと訴えました。