立憲民主党は30日、「休業支援金拡充法案」(正式名称:新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案)を会派を共にする社民党、さらには共産党、国民民主党と共同で衆院に提出しました。
休業支援金拡充法案は3つの政策から構成されています。(1)現行の休業支援金・給付金にかかる企業規模要件を廃止し、大企業の非正規労働者も受給可能にする(2)シフト制・日々雇用の労働者等、事業主に雇用されることを常態としていた者が休業支援金・給付金を受けるための措置を義務付ける(3)事業主に対して、支給を申し出た労働者に対する不利益取扱いを禁止し、国の措置に協力するよう努力義務を課す――というもの。
提出後、法案提出者が記者団の取材に応じました。立憲民主党の長妻昭厚生労働部会長は、「昭和の時代であれば、企業を救済すれば、その救済の枠組みに従業員の方がある程度入った。ところが今、雇用形態が大幅に変わり、非正規雇用が4割を占め、企業救済してもなかなかその枠組みに入らないという問題がある。そこで直接的に非正規雇用をはじめとする方々に休業支援金・給付金をお支払いするスキームとして始まったはずだが、経営者の誤解あるいは制度の不備によって、行き渡っている方もいるし、そうでない方もいて、著しい不公正、不公平が発生をしている。こういう事態を受けて今回法律を提出した」と立法趣旨を述べました。
同じく提出者の中島克仁議員は、「休業支援金・給付金の執行率は、約5%に留まっている。本来支援を受けるべき方々に行き届いていない。制度の穴を埋めるための議員立法であるので、政府はしっかりと受け止めてもらいたい」と力を込めました。山井和則衆院議員は、「大企業の非正規労働者は、失業手当も休業手当も休業支援金・給付金もなく、無収入だ。コロナで最も困っているのは、そうした無収入になっている方たちだ。その方々を救うのが今回の議員立法だ」と説明しました。
記者会見には、休業支援金・給付金を受け取ることができていない4人の当事者が同席しました。大手ホテルでシフト制のアルバイトに従事している男性は、「申請を試みたが、『うちのような大企業は申請に当てはまらない」と救済の手段を断ち切られた」と報告。試食販売のアルバイトの女性は、「3月に3回仕事が入ったが、それ以降は1回も仕事が入っていない。7月に会社に休業支援金・給付金の申請で電話したが、『相談してみる』と言っていまだに回答がない」と実態を訴えました。当時者の窮状を受けて長妻議員は、企業規模や経営者の誤解で救われる人と救われない人がいる現状は「社会正義に反する」として、法案成立の必要性を強調しました。
①概要(休業支援金拡充法案)
②要綱(休業支援金拡充法案
③条文(休業支援金拡充法案)
④新旧対照表(休業支援金拡充法案)
https://cdp-japan.jp/news/20201030_0154