立憲民主党議員が参加する「核兵器のない世界を目指す議員連盟(非核議連)」は20日、松井一實広島市長、田上富久長崎市長の訪問を受け、「核兵器禁止条約に関する国会における議論の推進 について(要請)」と題する要請書を受け取りました。その後、岡田克也議連会長、森本真治事務局長代理、白眞勲参議院幹事長代理らは両市長と意見交換を行いました。

 冒頭、松井広島市長は「少しでも核兵器をなくす、あるいはこれ以上増やさないということまでは、合意ができている。しかしその具体化が進まない中で、廃絶に向けての動きが停滞している。廃絶するということを明確に位置づけてやっていこうという動きが、(核兵器禁止条約で)ようやく日の目を見るということだと思う。ある意味で被爆者の声を具現化する一里塚がようやくできた。大変厳しい安全保障状況の中でということなので、難しいということであれば、少なくともオブザーバー参加し、その動向を見ながら被爆国としてどう対応するのか。時期を失することなく対応できるようにして頂くという局面に入ったという認識です。この被爆国としてのリーダーシップを実現するため、国会の場でそうした世論形成、議論の環境を作ることをして頂きたいということで、本日お願いにうかがった次第です」とあいさつ。
 これに続き、田上長崎市長が「唯一の戦争被爆国として、日本政府も参画をして、この条約を詰めて行く。この条約が実際に効力を持つものになっていくプロセスに参加をして頂きたい。そのことについて被爆者の皆さん、そして被爆地として強い願いをもっております。批准が第一の要望ですが、その前段階としてオブザーバー参加ということを真剣に議論して頂きたい」とあいさつしました。

 これに対し、岡田議連会長は「『核の抑止力』というものに依存している日本にとって、ただちに批准をするということにさまざまな困難がある――私もそういう思いは持っております。しかしその一方で、これまで日本政府が核軍縮の努力というものを本気でどれだけやってきたのか。むしろやはり、抑止力に依存するということのために何も言えなくなっている――あるいは場合によっては、東アジアにおいて戦略核だけでなく戦術核を持っていてもらいたいというようなことを日本政府は(陰で)言っているのではないか。一方で「軍縮」と言っていますが、現実は違う。それが日本政府の最大の問題ではないかと思っております。バイデン大統領の選出を受けてアメリカが大きく変わりそうな中で、日本としてはまずはオブザーバーとして入り、全体の軍縮の流れをどうやって作っていくか。そして条約に入るための各国の条件について、どうすれば合意ができるのか。そういったことにこそ日本はしっかりと役割を果たしていくべきだ。お二方が仰った通りでありますので、そこは認識を共有しながらしっかりと前へ話を進めていきたいと考えております」と応じました。

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 白眞勲参院幹事長代理は「私も岡田会長と同じ思いである訳ですけれども、予算委員会で私が取り上げたのは、広島・長崎で締約国会議を開催することがいいのではないかと、そのような趣旨の発言をしました。すると、菅総理がそれは『不適切だ』と。私も『不適切と言うのは不適切ですよ』と言い返しました。その後、外交防衛委員会で政府のトーンが変わり『わが国の核兵器廃絶についての強い願いを世界に発信する上で有意義だと考えております』と答弁を修正しました。1月に条約発効となると、私は世界の流れもいろいろと変わってきているのではないかと思っております」と述べました。

 また森本議連事務局長代理は「議連の活動報告を致しますと、核拡散防止条約(NPT)の会議に向けてわれわれ議連としても国会における議論を活発化していきたいということで、勉強会を重ねてまいりました。提言なり附帯決議なりができるかということを検討していたのです。しかし、ご案内のように1年以上延びて来年になりました。核禁止条約と併せてしっかりと議論したいと思います。ぜひ両市の皆さんの意見をしっかり聞かせて頂けたらと思います。よろしくお願い致します」とあいさつしました。

 最後に松井広島市長が「国会での議論に留意しながらやっていきたい。日本が(自国の)安全保障の立場をどう考えるかということ。条約を支援してくれるグループと、それ以外の国々との間をどううまく泳ぎながら、わが国の安全保障を保ちながら、いかに核兵器のない世界を目指すかということがポイントになるかと思います。全方位外交と言いますか、そうした議論をできる場を作って頂き、まずはNPT――核不拡散・軍縮というものについての取り組みを加速させると同時に、次なるステップとして核兵器禁止条約を認知する。認知した後の対応を検討するためにオブザーバー参加する。岡田会長が仰ったように、日本の立ち位置を整理した上で今後の対応を見せ、それを国民が知る。そういう場の設定を国会の場でして頂きたい」と述べ、懇談は終了しました。

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https://cdp-japan.jp/news/20201120_0288