会派の厚生労働部会は17日、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)に対応する医療機関の現状について東京都医師会から、介護事業所の現状についてUAゼンセン日本会議クラフトユニオンからヒアリングをおこないました。
長妻昭部会長は冒頭、「われわれは昨日、COVID-19患者を診ている病院関係者にもう一度、慰労金を20万円お支払いすべきだということで田村厚生労働大臣に申し入れてきたが、もう一度、さらに強力な支援策として人もお金も投入しなくてはいけないのではないかという問題意識を持っている」とあいさつしました。
東京都医師会の猪口正孝副会長は、COVID-19患者を受け入れていない病院で経営状況が悪化していること、東京都では256の急性期病院のうち110病院がCOVID-19に対応していること、COVID-19に対応している医療従事者は責任感は強く離職者が少ないが、業務上のストレスが相当高くなっていること――など現場の状況について説明し、医療現場としては「何よりも感染者を少なくしてほしい」と語りました。
猪口副会長は、感染者を減らすために何をしたらよいかの問いに対し、飲食店での感染防止策が緩んでいること等コンプライアンスの低下を指摘するとともに、世の中の納得を得ながら三密回避、人の移動を減らすなど感染を防止をおこなっていくべきだと話しました。また、東京都で感染の深刻度を現状のレベル2から3-1に引き上げられる見通しを示し、「感染者の100人に1人が重症化しているので、感染者が600人台だと重症患者が6名。治療に15日間程度かかり、6人×15日で90床が占有される。挿管後の経過をみたりするために実際はその2倍、200床近くを使うことになる」と説明。COVID-19患者の受け入れが多くなることで通常医療にしわ寄せが出て、治療が後回しにされることは医療崩壊にほかならないと危機感を示しました。
また、COVID-19患者に対応するには相当の経験、訓練が必要なのでスタッフの増員に難しさがあること、精神的に負担が重くなっているスタッフを支援するためにホスピタルカウンセラーの派遣が役に立つのではないかと指摘しました。
UAゼンセン日本介護クラフトユニオンの染川朗会長は、介護従事者の約93%がコロナ禍により精神的な不安、負担を感じているというアンケート結果、今年に入って組合員の自殺者が6人で昨年同時期の2倍になっているとの報告がありました。続いて、村上久美子副会長から、11月19日から26日に介護事業所従事者を対象にしたアンケートで、COVID-19の影響で困っていることとして感染予防対策、衛生品の入手、人員不足、メンタルヘルスを挙げる人が多かったとの説明がありました。
衛生品の入手については、現在は使い捨て手袋が入手困難になっているが、国はいまだにマスクは不足していないかと通知している有様なので、国には状況の変化を的確にとらえ、必要物資の需給を先読みして対応してほしいとの要望がありました。
介護従事者のメンタルヘルスへの対応、介護従事者に対する慰労金の給付時期の遅れ、COVID-19感染者への差別・風評被害、コロナ禍での介護サービスの提供等の課題について意見交換しました。
新型コロナウイルスに関する介護現場からの報告(UAゼンセン日本介護クラフトユニオン).pdf
https://cdp-japan.jp/news/20201217_0421