農林水産部会(部会長:田名部匡代参院議員)は15日、国会内で会議を開き、農林水産省からコメの生産状況についてヒアリングをおこなった上で、「米価下落並びに米政策等に関する緊急要望」を取りまとめました。
田名部部会長は冒頭、米価の下落について「全国の生産現場から不安の声が届いている。概算金目安が出て、地元青森では昨年比3400円下げ、2、3割下げが中心と報道されているが、1万2000円から8000円と価格がこれだけ乱高下すると経営計画の見通しが立たない。それに加えてコロナ禍の影響を生産現場の皆さんのご努力で何とかして下さいというのはあまりにも酷だと思う。現場の皆さんからコメの生産を続けて行かれるのだろうかとご不安の声が上がっているし、全国からご要望が届いている」と述べ、緊急に要望を取りまとめ、政府に提出する考えを示しました。
部会に出席した枝野幸男代表は、「新型コロナウイルスの影響はコメ作り農家の皆さんをはじめ農家の皆さんにも大変な打撃を与えている」「(コロナ禍で)コメが大変売れない状況になっているということで、大変深刻な影響を受けていることを昨年秋、感染者数が減っている時期に訪れた北海道の皆さんからもお話を伺ってきているところだ」と述べ、そうした中で農業者の方々にコロナによる影響を穴埋めできるような支援ができていないと指摘しました。「米価の値下げ、特に平成3年米の価格が予想を上回る大幅な値下がりをするおそれが大変強くなっている。これでは米作りを続けていけないというような声が出ている」と危機感を示しました。
また、農林水産省に対し、「政治が事実上機能していない状況の中、(政治空白で)2カ月も待っていたら遅れてしまうので、ぜひ出来ることからどんどん進めていただきたい」と要請しました。さらに「これは米作り農家だけの問題ではない。国民が生きるのに不可欠な主食の生産の問題であり、食料安全保障や水や緑や空気、環境を守るための根幹の部分の問題である。党を挙げてこの問題に対応してまいりたい」と語り、今週末にも新潟県を訪ね農家の方々から直接お話を聞くことを計画していると明かしました。
農林水産省から米政策の進捗状況について説明を聞き、質疑応答をおこないました。
参加議員からは、(1)コロナ禍で安倍政権による農業政策大転換の歪みが露呈したのではないか。やはり国によるコメの生産調整を再開すべきではないか。国の責任による生産調整と農業者戸別補償制度を一緒に再開すべき(2)コロナ禍の影響によるコメの需要の減少はどれくらいか(3)来年度概算要求で水田活用の直接支払交付金は3320億円だが、足りないのではないか(4)民間在庫が多くなっている理由(5)コメの需要は海外への援助の分野で掘り起こすべき(6)温暖化によるコメの収穫量への影響を踏まえて米政策を検討すべき(7)コロナ禍の中、農家がこれだけ需給調整の努力をしているのだから、公的支援について消費者の理解を得られると――などの意見、質問が上がりました。
質疑応答の後、緊急要望について協議し、5項目を取りまとめ、同日昼に農林水産省に提出しました。要望のポイントは次のとおりです。
1.緊急限定的に令和2年産米の過剰在庫を政府備蓄米として受け入れ、市場から隔離を
2.受け入れた備蓄米は子ども食堂やコロナ禍の生活困窮者支援、災害支援等、他省庁と連携した需要促進策の検討を
3.水田活用の直接支払交付金のより十分な予算確保を
4.農業者戸別所得補償制度の復活と、再度、政府主導の生産調整を
5.米政策の公平公正な検証と恒久的な制度構築を