【衆院本会議】被災地の復旧・復興の加速掲げるも全体の2割未満 令和元年度予算案が可決、参院に送付

 衆院本会議が28日夜開かれ、総額4兆4772億円の令和元年度(2019年度)補正予算案は与党など賛成多数で可決、参院に送付されました。

 採決に先立ち、共同会派「立憲民主・国民・社民・無所属フォーラム」を代表して補正予算案に反対の立場で討論に立った山内康一議員は「令和元年度は、台風19号をはじめとして全国各地で数多くの自然災害が発生し、野党も被災された多くの方々の生活を再建し、地域の復興を加速するため、一刻も早くきめの細かい補正予算の編成を急ぐべきと、主張してきた。政府提出補正予算のうち『自然災害からの復旧・復興の加速』に関する予算については、当然必要であり、その内容に異論はない」と表明。その上で、「本来であれば、昨年の臨時国会で措置すべき内容で、政府の対応はあまりにも遅かったと言わざるを得ない。その一方で、補正予算全体を俯瞰すると、さまざまな問題があり、補正予算全体としては反対せざるを得ない」と述べました。

 反対理由としてはまず、補正予算の編成目的について、政府は「台風19号など相次ぐ自然災害からの復旧・復興を加速するとともに、経済の下振れリスクに対応するため」としていますが、実際は追加歳出約4.5兆円のうち、「自然災害からの復旧・復興の加速」に関する経費は約6900億円にすぎず、全体の2割未満であると指摘。また、補正予算の趣旨に反し、近年、当初予算に計上すべき経費を、補正予算に回すことで、次年度当初予算を少なく見せかける慣行が定着していることにも触れ、「2020年度当初予算に入りきれなかったさまざまな項目を、無理やり補正予算にねじ込んだと思われる、悪乗りの政策経費が散見される」と批判しました。

 一例として、防衛省予算にあるミサイルや戦闘機などの「兵器ローン」の返済が3807億円や、米国政府の対外有償軍事援助、いわゆるFMS調達の支払いにあてる1773億円などを挙げ、「わが国の経済対策とはおよそ無関係な予算が含まれている」と述べました。

 加えて、財政法6条の規定には、前年度剰余金は2分の1以上を借金の返済にあてるべきとするルールがあり、補正予算における新規国債発行額を少しでも抑制するために、剰余金の全額は補正予算で使い切るべきであるにもかかわらず、政府は今回の補正予算に際して、2分の1を超える額を政策経費に活用できるようにする特例法を国会に提出したことに言及。特例法を提出しておきながら、実際には剰余金全体の1兆3千億円が政策経費に活用可能となるのに対し充当額は8千億円と、特例法なしで活用可能であった約6600億円にプラスされる金額は約1400億円に過ぎず、その残余額約5千億円は令和2年度予算へと振り向けられることとされていると問題視しました。

 一方で政府は令和2年度予算の編成に際し、新規国債発行額を約1千億円減額し、安倍政権発足以来8年連続だと喧伝しているとして、「財政法の趣旨に反するばかりか、あたかも財政健全化が進んでいるかのように見せかけた姑息なトリックであり、国民の目を欺くものだ」と断じました。

 立憲民主党は、「令和元年度補正予算案(一般会計・特別会計・政府関係機関)」および「平成30年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案」に反対「地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案」には賛成しました。

 同日の本会議では、衆院農林水産委員会で可決した「家畜伝染病予防法(家伝法)改正案」(委員長提案)が上程され、採決の結果全会一致で可決しました。同改正案は、アフリカ豚コレラ(ASF)対策として、感染していない豚を含めた「予防的殺処分」を可能にするもので、立憲民主党など野党が昨年末から政府に早期の対策を要請、考え方を提示するなど積極的に働きかけ、超党派議員立法として提出されました。現行法では口蹄疫だけが対象だったものにアフリカ豚コレラを加え、野生イノシシが感染した場合に飼養豚を殺処分できるようにするとともに、名称について、豚コレラ(CSF)を「豚熱」、アフリカ豚コレラを「アフリカ豚熱」に変更することも盛り込んでいます。

【衆院本会議】2020年1月28日 令和元年度補正予算案討論原稿 山内康一議員.pdf

 

https://cdp-japan.jp/news/20200128_2530

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