立憲民主党東日本大震災復興本部は27日、国会内で会議を開き、(1)特定復興再生拠点区域(復興拠点)外の避難指示(2)五輪選手村食堂における食材産地の非表示――について政府から話を聞きました。

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 冒頭、玄葉光一郎本部長(党副代表)は、23日に開会した東京オリンピックに触れ、「私たちはもちろん選手、アスリートの皆さんの大活躍を心から期待、応援しているが、(自身の地元の)福島では『復興五輪はどこに行った』という声がかなりあることも事実」だと指摘。特に県民の心を痛める事案として(1)選手村の食堂で福島県産の食材が非表示になったことと、これに関連する韓国選手による福島県産の食材の拒否(少なくともそうした報道があったこと)(2)復興拠点外の扱いについて、与党から「帰還する方々を中心に家屋の解体と除染をする」との提言があったこと――を挙げ、「復興拠点外については、『帰還する』と言っていない方も含めて国の責任で必要な家屋の解体や除染はおこなう必要があるとの強い思いがある」とあらためて強調しました。

 与党が7月20日に菅総理に手交した「東日本大震災復興加速化のための第10次提言」では、「特定復興再生拠点区域外における対応の具体化―自宅に帰りたいという切実な思いに応える新たな方向性」として「拠点区域外にある自宅に帰りたい」という思いに応えるため、帰還の意向を丁寧に把握した上で、帰還に必要な箇所を除染し、避難指示解除を行うという新たな方向性を示す」「国は2020年代をかけて、帰りたいと思う住民の方々が一人残らず帰還できるよう、取り組みを進めていくことが重要」などと明記しています。

 政府は、復興拠点外の避難指示解除に向けた検討状況について説明。提言も踏まえ、早期に政府としての方針の検討を進めていく考えを示しました。

 出席議員らは、冒頭の玄葉本部長の発言にもあったように、「帰還する」と意思表示した方の近くだけ家の解体、除染するのでは帰還を希望する人は増えない、帰還希望の有無を確認することで新たな分断が起きる懸念があるとして、政府は、帰還の希望の有無にかかわらず、復興拠点外の全域で必要な除染をおこない、その上で希望者を募るべきだと要望。帰還促進に向けては、希望者に高齢者が多いことを考慮し、世代間のバランスに留意した支援も求めました。

 これに対し政府は、「かつては線量が高く帰れないことが前提だったが、置かれている状況が変わってきた。被災者の気持ちに寄り添った対応をしていきたい」「問題意識はごもっともだが、ケース・バイ・ケースでやり方、範囲は地元自治体の皆さんや実際に除染をおこなう環境省と議論した上で決めていく必要がある。政府として検討していきたい」などと応じました。

 五輪選手村食堂における食材産地の非表示をめぐっては、東京五輪・パラリンピック組織委会は当初、被災地の食材を世界に発信するとしていましたが、選手村の24時間営業の食堂で提供される食材に産地表示がされておらず、被災地支援の取り組みとは認識されません。政府(東京オリンピック・パラリンピック推進本部事務局)からは、大会を通じた被災地の食材活用として、これまでの各種会議の夕食会やレセプションでの、被災地の食材を活用したメニューを提供した事例などが紹介されましたが、韓国選手団が大会中の食事に関し、福島県産の食材を拒否し、独自に弁当を手配するとの報道や、表彰式でメダリストに贈呈される「ビクトリーブーケ」をめぐり韓国メディアは「福島産の花束で放射能への懸念がある」という趣旨の記事を報じています。

 こうした状況を受け、出席議員は「『復興五輪』と言っていたが、もはや消えてしまっている。(被災地にとって)被災地のアピールになっていない」「マイナスの情報発信に対してどう挽回するのか」など懸念を表明。政府から組織委員会に働きかけ、風評払しょくに向けて早急に改善を図るべきだと求めました。