北海道行脚の3日目となった2日、枝野幸男代表は苫前町を訪れ、酪農や漁業の現場、風力発電所を視察し、地域の声を聞いて回りました。視察には地元北海道10区の神谷裕衆院議員、中川浩利道議会議員、苫前町に隣接する留萌市の芳賀博康市議会議員が同行しました。(写真は伊藤牧場を視察する枝野代表=右、伊藤まち子苫前町議=右から2人目、神谷衆院議員=左)
はじめに福士敦朗苫前町長を表敬訪問し、町内の農業、酪農、漁業の状況、町営の風力発電所の概要、及びそれぞれの課題について説明を受けました。
■スマート酪農
スマート酪農を実践し、苫前町初の女性町議会議員でもある伊藤まち子議員が経営する伊藤牧場を視察しました。伊藤牧場では、哺乳ロボットや搾乳ロボットなどの導入によって、飛躍的に生産効率を上げることに成功。牛たちが搾乳ロボットの前に並んで順番を待ち、乳房の洗浄から搾乳まですべてを自動で行われる様子を紹介されました。「牛たちはロボットが稼働するときの音を覚えていて、自然と寄ってくる」との説明をうけました。伊藤議員は、「導入以前は、朝6時から夜の9時、10時まで拘束されていましたが、今では18時過ぎには仕事を終えられるようになりました」と語り、「次の世代が安心して酪農に従事できるようになって欲しい」と、スマート酪農の必要性を改めて強調されました。
■風力発電所
続いて、苫前夕陽ヶ丘風力発電所を視察。風の町と謳われる苫前町は全国に先駆けて風力発電事業を始めた町でもあります。同所は、豊浦地区に建設した風力発電機3基の老朽化(設置から20年も経過した)に伴い、新たな風車4号基にリブレース(建て替え)をし、今年3月に運転を開始しました。2012年に導入された太陽光や風力発電等の再生可能エネルギー電力の固定価格買取制度(FIT法※2016年に改正)が建て替えの際の一助を担ったとのこと。一方で、留萌管内を十分にまかなえるほどの電力を供給しているものの、送電線がないため、それ以外への地域へは供給ができないといった課題があることがわかりました。
■漁港
次に苫前漁港を視察しました。苫前はホタテ・エビ・ナマコなどの海産物でも有名な地域。苫前漁港では、水産業を核とした賑わいのある環境整備を目指し、さまざまな取り組みが行われていることが紹介されました。苫前事業と連携し、武蔵堆沖で獲った活エビを参加者で分けるイベントを行い、観光客を1.3倍近く導入することに成功。また、屋根付き岸壁等の整備により、鮮度の高い環境の構築と衛生管理の向上につながったとの説明を受けました。
■農業者との懇談
最後に、苫前町で農業に従事される方々との懇談会を行いました。懇談では、政府が農家に交付する補助金の支援条件を厳しく変更した問題について、不安の声があがりました。この補助金は、園芸作物を栽培する農家を対象に、次期作向けの農機や資材の購入費の一部を助成するもので、6月から8月に申請を受け付けたところ応募が殺到しました。そのため、政府は10月12日に条件を変更し、新型コロナの影響で売上高が減った作物だけを対象にすることにしました。補助金を見込んで農機や資材などの先行投資をしていた農家が多く、急な条件変更が不安と混乱を招いていました。枝野代表と神谷議員が参加者に「農業従事者から多くの不安な声を聞き、私どもの訴えにより、政府は再び条件を元に戻すことになった」伝えると、一同、安心した様子でした。懇談では、政府の場当たり的な対応が現場をいかに振り回しているかということが浮き彫りになりました。
https://cdp-japan.jp/news/20201102_0175