蓮舫代表代行は8日、神戸市長田区で女性・シングルマザーとその子どもたちの居場所と仲間作りの場を提供するWACCA(わっか)を視察。サポートを行う方々や利用者の方々から話をうかがいました。舩川治郎・兵庫2区総支部長、安田真理・兵庫7区総支部長、相崎佐和子県議会議員も同席しました(写真上は、話を聞く蓮舫代表代行ら。右奥から舩川総支部長、蓮舫代表代行、安田総支部長、相崎県議)。

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■「全然DV被害者に優しくない」

 DV被害を受けた女性は、正社員になるために勉強をしたいが、子育てと働くことで精一杯、学ぶための時間と場所が欲しいと訴えました。また、実家に身を寄せているが父親との折り合いが悪く、家を出たいと思っても、子どもを見てくれる人がいないとフルタイムで働くことができない、そのスパイラルに陥っていると悩みを打ち明けました。

 また、DV被害者にとって戸籍制度が困難を生んでいると語りました。これは、加害者に居場所を知られないために住民票はそのままにすることが多いものの、被害者が新しい住まいで生活をしたり子育てをする場合、住民票や戸籍謄本が必要になることも多く、利便性の面から住民票を移すことを考える必要が出てきます。ただその場合、加害者に居場所が知られるリスクも高くなります。こうした状況に対して「全然DV被害者に優しくない」と訴えました。

■「守る体制をもっと整えて欲しい」

 別のDV被害者の女性は、「母が他界していて、父は夫の肩を持ち、私を理解をしてくれなかった。辛かった」と振り返り、「実家に帰れず、逃げ場所がなく、子どもが1人の時は守れたが、2人になると私だけでは守れない」と家を出ることを決心したと語りました。

 そして、警察や市役所などに相談に行く前に相談できるWACCAのような場所がもっと必要だと指摘。「警察も逃げてくださいとしか言わない。事情聴取が4時間にも渡り、その間に子どもがうんちでおむつかぶれを起こしていたが、おむつを換えることもできなかった。お国の仕事ってそうなのかなって思った。(被害者を)守る体制をもっと整えて欲しい」と語りました。

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■18歳から20歳が制度のすきまに落ちている

 WACCAのスタッフで、自身もDV被害に遭われた経験を持つ方は当時のことを振り返り、「民間の支援があると誰も教えてくれなかった。とにかく一人で切羽詰まった中、ずっと走り抜いてきた。いつも何かと戦っているような状況で体調を崩したりした」と語り、民間でも支援しているところがあるという情報を、役所の窓口にカード1枚でもいいので置くなどの対応をしてほしいと訴えました。

 また、転居するにもハードルが高く、DV被害者は自由になるお金をほとんどもっておらず、引っ越しの初期費用や保証人の問題などで移ることができないと語り、家賃補助や住宅を借りるための支援をお願いしたいと訴えました。

 さらに、18歳から20歳の間で虐待に苦しんでいる子どもが制度のすきまに落ちていると指摘。児童相談所では原則18歳未満の子どもにしか関われず、一方で20歳になるまでは親権に服さなければならず、家を出て物件を借りるにしても親の承認が必要であることなどから、虐待を受けている子どもや家に居場所にない子どもへの支援を求めました。

■コロナ禍で相談が増えている

 別のスタッフは、コロナ禍で相談が増えていると語りました。在宅勤務が増え、夫と暮らしてるいると暴力が増え、また母子で暮らしている場合でも煮詰まってしまい子どもに辛く当たってしまうという。また、相談はしたものの、その後のことが用意されていないことも多く、他府県からの相談も増えていると語りました。さらに週末でないと相談に来られない人もいることから、土曜日も開けていると話しました。

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イラストレーター黒田征太郎さんによるWACCAの外壁のイラスト
■「私たちは、暴力か貧困しか選べないんですか」

  WACCAを運営するNPO法人女性と子ども支援センターウィメンズネット・こうべ」代表の正井禮子さんは、ボランティアで支えるには限界があると指摘。民間シェルターへの支援は少なく、兵庫県に4カ所あった民間シェルターも、いまでは1つになってしまったと語り、人件費や家賃などの助成を求めました。

 そして、「私たちは、暴力か貧困しか選べないんですか」と切実な声を紹介。暴力から逃れ、家を出ても、子育てと仕事の両立が難しく、正規雇用に就けず収入が少ないことも多い実情に「貧困も暴力。貧困を放置しているのは、国からの暴力だ」と指摘。「世界と比べ、シングルマザーの場合、働いたらより貧乏になる国は日本くらい」だと訴えました。

 蓮舫代表代行は「暴力も貧困も人権の問題。人権を守る社会を作らないといけない。必ず実現していく」と応えました。