政府の「イージス・アショア」の代替案等に関する閣議決定を受け、18日、篠原豪外交・安全保障・主権調査会長、広田一同調査会幹事長、小西洋之同調査会幹事長代理、重徳和彦同調査会事務局長らが国会内で記者会見を開きました。政府の閣議決定の主な内容は、(1)陸上配備型のミサイル迎撃システム「イージス・アショア」の代替策として、イージス・システム搭載艦2隻を新造すること(2)多様なプラットフォームから運用が可能な、国産のスタンドオフミサイルの開発への着手をする――ことでした。
冒頭、篠原会長は「本日、政府が閣議決定を行い、わが党は、日米同盟を基軸とした防衛体制、および防衛専守防衛を基本とした安全保障政策を守る立場から、本日の閣議決定の内容には問題が多いと考えている」と表明しました。そのうえで、「確かに日本を取り巻く安全保障環境の変化には、柔軟に対応することが必要だ。だが同時に、あくまで原理原則を守ることが大事であって、例外的な事態への対応をてこに原理原則をなし崩し的に改変する、そういったことは認める訳にはいかない」と述べました。
篠原会長は、新たな代替策としての導入が想定されているイージス・システム搭載艦については、イージス・アショア導入の目的とされた、北朝鮮への24時間365日常時監視・防護、この役割を果たせないこと。また海上自衛隊の負担軽減どころか、さらなる情報乗組員の確保さえ必要となり、自衛隊の負担を逆に増すもので、代替案にはなり得ないと主張しました。
さらに国産のスタンドオフミサイルの開発ついては、これが敵地攻撃能力の保有に繋がらないのか、専守防衛から逸脱するおそれはないのか等について、「慎重な検討も必要だ」と述べました。今後、政府に対しミサイルの開発が敵基地攻撃を想定したものではないのか、これまでの憲法解釈に照らして問題はないのか、「明確な説明を求めて参りたい」との考えを明らかにしました。
またこれに続いた記者団との質疑応答の中では、今後のあるべき防衛の姿についても触れ、「防衛費の制約がある中で、自衛隊員の環境など、これまで言われてきた基礎的な部分の改善や、より実効性のある南西諸島防衛の強化などを優先すべきだ」「サイバー・宇宙などの新たな領域における対処能力を高めるべき」と述べました。
小西調査会幹事長代理は、「国会会期中、参院の外交防衛委員会で敵基地攻撃について質問してきたが、政府は具体的な答弁をずっと拒否してきた。会期が終わってわずか1週間後に、こういった閣議決定をするのは、国会軽視も甚だしい。シビリアンコントロールにも反する」と述べました。
https://cdp-japan.jp/news/20201218_0427