立憲民主党は11日、「ワクチン接種円滑化法案」を衆院に提出しました。立憲民主党からは、長妻昭厚生労働部会長、大島敦、山井和則、川内博史、津村啓介、中島克仁、尾辻かな子各衆院議員が法案提出に参加しました。西村智奈美、逢坂誠二、白石洋一、稲富修二、早稲田夕季、山川百合子、櫻井周各衆院議員も提出者です。
新型コロナウイルスのワクチン接種を円滑に進めていくためには、接種を実施する医師・看護師等が不足する事態に備えて、政府が必要な措置を講じておく必要があります。本法案は、新型コロナウイルスワクチン接種に関し、(1)政府による工程表の策定、(2)ワクチン接種のための筋肉内注射を実施する者の確保――について政府が講ずべき措置を定め、ワクチン接種の計画的かつ円滑な実施の推進を図るものです。
提出後の記者会見で長妻議員は、「ワクチンの打ち手を増やしていく法律だ。野党のワクチン接種進捗に関するヒアリングで自治体の皆さんと意見交換しているが、やはり打ち手不足を異口同音におっしゃる」と述べ、政府が打ち手を救急救命士、臨床検査技師に拡大しようとしていることについて、「自治体の首長からの話では、救急救命士は忙しくてとても頼めないし、臨床検査技師はなかなか地域にいないと話されていた」と紹介しました。一方で、接種会場にはすでに薬剤師が手伝いに入っているとし、「そうであれば、そういう方々が打つことができるような、そのような準備をしないといけない。この法律の仕立てとしては、まずは打ち手がどれだけ必要になるのかという工程表をつくり、先を見越して打ち手が不足が顕著になった時、現状の打ち手では打てないと見込まれる時に、先手を打って薬剤師をはじめとする方々に研修を開始し、そして打ち手として参加をいただくようにする。接種をしてもらうには、研修とか、補償とか段取りが必要なので、それを促す法案だ。職域接種の現場からも打ち手が足りないという声があがっている。産業医がたくさんいる企業ばかりではない。この法案を政府に見ていただき、準備をしていただきたいという思いで提出した」と述べました。
中島議員は、「地域では当初、人材の確保を念頭にスケジュールを組んでいたところが非常に多い。しかし7月末までに高齢者の接種を終える、もしくは6月21日から職域接種を開始するということになり、接種スケジュールを前倒しするにあたっては、急激な前倒しの状況で人材が足りないというのが現実だと思う。私も医者で、現場で接種側に回っているが、薬剤師は今でもチームに入っている。救急救命士、臨床検査技師も大事だとは思うが、日頃の業務が大変な状況なので、普段から接種会場で対応している薬剤師等々が臨機応変に打ち手に回れる状況をつくることが今後の円滑な接種に向けて非常に大事なので、この法案は意義がある」と述べました。
川内議員は、「政府は根拠もなく接種が一日100万回に達したとか、あるいは11月までには希望するすべての国民の皆さんに接種を終えられると言及し、後から別の閣僚が否定するようなことをやっているが、ワクチンの接種は確実に、そして接種を受ける側は安心して受けられる体制をまずつくる必要がある。しかし、政府はその体制ができていないのではないか。まずはしっかりとした人員を確保し、工程表をつくり、みんなが安心してワクチン接種ができる環境をつくっていくのが政治や行政が第一にやるべき仕事ではないかということで本法案を提出し、政府をリードしてまいりたい」と述べました。
尾辻議員は、「今考えられるリスクは第5派がデルタ株で広がる、さらに熱中症ということで医療のひっ迫が起こった時にワクチンの打ち手が足りるのかということ。また、今は2回接種だが、欧米では3回目が必要ではないかという研究もされている。そうした視点に立つと、いざという時のための打ち手の確保が大事になってくるので今回の法案の提出に至った」と語りました。
山井議員は、「今回の法案は一言で言うと『転ばぬ先の杖』、あるいは『念のため法案』とも言うべきもので、危機管理として、もし打ち手が足りなくなるのであれば、早めに備えておくべきだという趣旨だ。菅総理は11月に希望する全国民のワクチンを完了すると言ったが、政府には工程表がない。打ち手が十分かどうかを聞いても、分からないと。そうなると、1カ月位たって打ち手が足りない、薬剤師が必要ということになっても、それから研修に2、3カ月かかるということになる。そのため、この法案ではすぐに工程表をつくり、打ち手が足りるかどうかを検証し、薬剤師を対象とした研修プログラムは今からつくっておく。それで打ち手が足りないと分かった時に、すぐに薬剤師が研修を始められるようにする。また、職域接種に1,000件以上、手が上がっているが、どこも打ち手が足りないと困っている。さらに菅総理が言うところの11月末までに全員完了するということになると、6月から半年間、医師らは休日返上で残業することになる。医師や看護師が、今のペースで半年間やり続けられるのか。やはり疲れたら薬剤師さんが打ってくれたら助かるということがあるのではないかと思う。危機管理として、途中で打ち手が足りなくなってはいけないので。繰り返し言うが、すぐに薬剤師に打ってもらうという法案ではない。もし足らない時には、薬剤師が打てるようにするという法案だ。打ち手が足りるのであれば薬剤師に出番は来ない」と説明しました。
【概要】新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種の計画的かつ円滑な実施の推進に関する法律案の概要.pdf
【要綱】新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種の計画的かつ円滑な実施の推進に関する法律案要綱.pdf
【条文】新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種の計画的かつ円滑な実施の推進に関する法律案.pdf
https://cdp-japan.jp/news/20210611_1533