本年1月に発災した能登半島地震とその後の豪雨は、能登の暮らしと生業に壊滅的な被害をもたらした。しかし、この間、政府は予備費の支出を繰り返すばかりで、被災地では先の見通しが立たず、希望が失われている。今こそ、補正予算を編成して、能登の復興を力強く推し進めるべきである。

 また、原材料価格の高騰や円安の進行により、依然として物価が高い上昇を続ける中で、我が国の雇用の約7割を占める中小企業では賃上げが十分に進んでおらず、所得が低いほど物価高による負担増の影響が大きくなるという傾向が顕著となっている。立憲民主党は、家計・事業者への直接的・集中的支援で、賃金・所得の底上げを図り、日本経済の再生を実現する。

1.能登の加速的な復旧・復興 ―極めて異例な複合災害への対応…0.6兆円

(1)「被災者生活再建支援金」の実質倍増
(「地域福祉推進支援臨時特例給付金」について6市町以外も対象化、年齢・収入の条件撤廃)
(2)公費解体・「被災者生活再建支援金」の対象拡大 (準半壊・一部損壊の対象化)
(3)「なりわい再建支援補助金」の対象拡大と二重被災者への適用
(4)災害ボランティアへの支援拡充 (高速道路無料化の延長、ガソリン代等支援)
(5)雇用調整助成金の特例措置の1年延長
(6)建築資材の高騰等を踏まえた復興基金の積み増し(+200億円)
(7)インフラ整備と耐震化・液状化対策(新潟県・富山県を含む)の推進等
(8)災害公営住宅(復興住宅)の整備に関する補助率かさ上げ(東日本大震災並みの補助率=7/8への引き上げ)、被災した年金生活者への支援(災害公営住宅の家賃半額補助)
(9)除雪の円滑化に向けた仮設住宅敷地内の駐車場舗装
(10)災害公営住宅の確保に向けた公共施設の解体に関する自治体への支援
(11)解体申請時の所有権問題の解決に向けた財政的支援

2.家計への直接支援 ―賃金・所得の底上げで経済再生…5.3兆円

(1)消費税の実質的な還付による「物価高手当」の給付
(2)「就労促進支援給付」(「130万円の壁」による収入の減少を補填し、就労抑制を解消する給付)の実施
(3)「年金生活者支援給付金」の拡充(+月額5,000円)
(4)介護・障がい福祉職員、保育士等の処遇改善(+月額1万円)
(5)訪問介護の緊急支援 (支援金の支給による基本報酬引き下げの実質的な撤回)
(6)公立小中学校の給食費無償化の先行実施
(7)児童扶養手当の増額(+月額1万円)
(8)「奨学金返済負担の軽減に向けた総合対策パッケージ」の先行実施
(所得控除の対象に奨学金返還額を追加、有利子奨学金の無利子化、所得連動返還方式の柔軟運用など)
(9)約25円/ℓのガソリン税減税(「トリガー条項」の発動)
(10)「暮らしと地域応援重点交付金」の創設、特別交付税措置の継続・拡充
(灯油・重油等を含めた原油価格の高騰対策等を、地域の実情に合わせて実施)
(11)電動車・省エネ家電買い替え支援
(12)既存住宅の建物断熱化の強力な推進

3.事業者への直接支援 ―事業を支え、賃上げを促進…1.5兆円

(1)米の価格上昇への対策(価格転嫁が困難な小売業者、飲食店等への支援)
(2)「中小企業等 電気・ガス補助金」の直接給付
(3)中小企業の省エネ・再エネ推進支援の加速
(4)中小企業のコロナ債務の一定範囲内での減免等
(5)新たに正規労働者を雇用した事業主の社会保険料負担軽減
(6)公正取引委員会や下請Gメン等の人員強化による価格転嫁の促進
(7)インバウンド等の旅行需要回復を踏まえた人材不足対策
(8)物流事業者の輸送負担軽減 (大口・多頻度割引の拡充措置延長、「トラック・物流Gメン」の拡充等)
(9)地域公共交通支援 (LPガス価格の高騰を踏まえたタクシー事業者支援、バス運転手確保対策等)
(10)肥料・粗飼料高騰対策の延長・拡充
(11)鳥獣被害対策の強化 (駆除等捕獲活動の経費、ハンター育成等への支援)

総額:7.4兆円

(対象期間 : 2024年11月~2025年3月)

〔 財源に関する考え方 〕

 本対策の財源について、来年度以降恒久的な支出とすべき政策に関しては、本気の歳出改革に取り組むとともに、「1億円の壁」を解消する金融所得課税改革など応分の負担を求める税制改革や、日銀が保有するETFの分配金・売却益の活用などにより確保する。その他、単発の対策の財源としては、基金の余剰金の国庫返納、年度内に支出される見込みのない公共事業関係費の削減など、既存予算の見直し等により捻出を図り、新規国債の発行抑制に最大限努めることとする。

 またこの間、政府は、物価高対応のため、巨額の財政出動を繰り返しているが、現下の物価高の主たる要因である過度な円安を是正しなければ根本的な対策にはならず、財政は悪化する一方である。したがって、(1)食料品やエネルギーなどの自給率を向上させて貿易赤字の縮小を図り、(2)通常の金融緩和よりも極端に低い政策金利を継続する「異常な金融緩和」を改めて、内外金利差の縮小を図ることで、円安要因の解消に努めるべきである。