去る11日、標記法案について共同提出しました。政府提出法案には、失業等給付の国庫負担について、現行の本則である4分の1を40分の1に実質的に引き下げることが盛り込まれています。また、政府提出法案には、新たな国庫繰入規定を設けることが盛り込まれていますが、その要件が法律上明確となっておらず、機動性及び実効性が担保されているとは言えません。この新たな国庫繰入規定の適用にあたっては公労使の意見を十分に聴取する必要がありますが、そうした規定も盛り込まれていません。そのため、法案がそのまま成立した場合、雇用保険制度の運営に支障をきたしたり、雇用保険の給付が縮小したりすることが懸念されます。政府提出法案には評価できる点も多く盛り込まれているものの、立憲民主党は法案の問題に歯止めをかけるため、修正案を提出しました。
同日の衆院厚生労働委員会で、山井和則衆議院議員が提出者を代表して趣旨説明を行いました。山井議員は、これまでの国庫負担を引き下げる暫定措置に対し、労働政策審議会の報告や衆参の厚生労働委員会の附帯決議で本則(4分の1)に戻すことが求められてきたにもかかわらず、政府案が国庫負担を本則(4分の1)の100分の10まで実質的に引き下げようとしている、と政府の対応を批判しました。その上で、雇用保険が将来にわたり安定的に運営されるようにするために修正案を提出した、と述べました。
修正案のポイントは以下の通りです。
(1) 政府提出法案のように国庫負担の実質的引き下げの改正は行わず、附則で定める国庫負担割合の軽減に係る暫定措置を廃止し、国庫負担をこれまでの本則である4分の1とする。
(2) 新たな国庫繰入の仕組みについて、政令で定める基準に従って行うものとし、当該政令で定める基準は、労働保険特別会計の雇用勘定の財政状況、求職者給付の支給を受けた受給資格者の数の状況等に応じた機動的な国庫の負担が確保されるように定めるものとする。当該政令及び国庫繰入れについて労働政策審議会への諮問を義務付ける。
(3)令和4年度におけるコロナ禍への対応のための失業等給付等への国庫からの繰入れについて、労働政策審議会への諮問を義務付ける。
(4) 政府提出法案の検討規定を具体化し、速やかに、費用の全額を国庫が負担する新たな制度に移行すること及びフリーランス等の雇用によらない働き方をする者を給付の対象とすることについて検討する規定とする。