衆院予算委員会で4日、参考人質疑が、国立感染研究所長の脇田隆字さん、連合副事務局長の村上陽子さん、長崎大学学長の河野茂さん、反貧困ネットワーク事務局長の瀬戸大作さんがそれぞれ意見を陳述。その後の質疑で、立憲民主党・無所属からは道下大樹議員が質問に立った。
雇用保険法改正案について、村上さんは、「国庫負担は国の雇用施策に対する責任を示すもの」だと述べ、雇用保険の財政が豊かであったときに本則の4分の1に10分の1をかけて40分の1(2.5%)に抑えてきたことは「やむを得ない」と対応してきたが、「コロナ禍で雇用情勢が厳しくなっているなかで今こそ国の責任を示してほしい」と注文。改善を求めた。
今回あらためて顕在化した女性の貧困問題に対しては、非正規雇用をはじめとする処遇の見直しに加えて、公的な相談体制の整備やNPOなど民間支援団体への財政的な支援、新型コロナウイルス感染症対策で民間委託されているところへの雇用を創出する工夫が必要だと答えた。
瀬戸さんは、第2のセーフティネットの生活困窮者自立支援と、第3のセーフティネットの生活保護とが分かれていることを課題に挙げ、例えば「ガスや水が止められた」といった緊急の、即日の支援が必要な時に問い合わせが分かれていてワンストップサービスになっていないことに、そこを具体的につなげる役割が重要だと指摘。「今の制度設計が具体的に若者や女性たちを想定していない制度になっている」とも述べ、具体的にどうアプローチしていくのか、制度設計を見直す必要があると求めた。加えて、若者の支援にかけつけるとその親のほとんどは貧困だとして、学生時代から具体的な支援をしていかないと18歳、19歳になったときの格差が大きく、非正規雇用でしか働けず住居がないという状況に陥っているケースが多いと警鐘を鳴らした。
道下議員は、第5波以後、11月以降3カ月間もコロナ分科会が開かれなかったことについて、政府は専門家の提言を聞いてこなかったのではないか、現在主流のオミクロン株BA.1系統から、感染力のより大きいBA.2系統が広がりつつあることにも触れ、今後の見立てを尋ねた。
脇田さんは、第6波は今までと違う様相であり、素早い対応を求められているなか、コロナ分科会での議論は必要だと発言。BA.2系統については、これまでより15%程度感染伝播力が高いとの分析が出ているとした上で、感染状況についてはしっかり見ていく必要があると述べた。
道下議員は「医療や命を守るものは国産化すべき。研究開発予算について政府府の予算を拡充すべき」「パンデミック対策は国防」だと述べた河野さんは、基礎研究の重要性を強調し、「産学官の連携をしっかりすること。利益だけにとらわれるのではなく国策としての対応が必要ではないか」と述べた。