枝野幸男代表は19日、訪問先の新潟県十日町市で「 #政権取ったらこれをやる Vol.3 地域を守り、地域を活かす」を発表し、記者団の取材に応じました。

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 枝野代表は冒頭、次のように発言しました。
 いま中山間地で農業をされている皆さんから(話を)聞かせていただき、また皆さんもご覧をいただいて、――私も田んぼが、農業が災害を防いでいると申し上げていますが――もし放棄地になり、そのまま荒れたら、土砂災害の恐れが高いだろうなと素人でもぱっと目で分かる、こういう現場を見させていただきました。こうした本当に多様な役割を担っている、多様な農業形態を守っていかねばならないと改めて強く決意をいたしました。
 そして、こうして地方の一番、農業の最前線で頑張っていただいている農業者を見させていただくこの機会をとらえて、「 #政権取ってこれをやる 」の第3弾、バージョン3として、いわゆる地域政策について取りまとめたものを発表させていただきます。

 地域を守り、地域を活かすと題させていただきました。
 1つに、規制緩和と競争力強化に偏重してきた農政を転換します。これは1次産業全体にかぶるような1つのわれわれの目標と言ってよいと思います。しっかりと1次産業を守っていくためには、規制をすべきところは規制をするし、いわゆる単純な競争だけの世界ではない、そういうたくさんの転換をして、農政を中心に1次産業をしっかりと守り、そして活かしていきたいと思っています。

 2番目、多様な農業者が共生する多様な農業を提案するということです。昨日の新発田市では、日本でも一番大きな一枚の田んぼ、ほ場整備が進み、そして広い平地での米作りを、(記者の)皆さんの中で一緒にご覧いただいた方もいると思います。そして、今日まさに中山間地の典型的な場所を見させていただきました。経営形態についても、法人化をして従業員の方を雇って頑張っている、相対的には若い農業者の方と、そしてその周辺で一部を法人に委託をしながら兼業家族農業で田んぼを守っていただいている農家の方も、今たまたま両方、お話を聞かせていただきました。
 本当に大規模に法人化等をして進めていく農家も、そして家族経営でやっていく農家も、ともに無ければ、日本の農業は前に進んでいきませんし、そして大規模化ができるところはそれを活かし、一方でこうした中山間地などの地域は多面的な機能をもっている。したがって、単に効率化して大きくすればいいという単純化されたものではない。多種多様な農業者が共生する、多様な農業を提案していきたい。
 そして、その具体的なやり方の1つとして、農業者戸別所得補償制度の復活を力強く訴えてまいりたいと思っています。単に復活させるだけではなく、よりきめ細かいものにしていかなければなりませんし、さらに米からやっていきますが、1次産業に広く展開をしていく。まずはそのスタートとなる米作りの戸別所得補償制度を復活させることをしっかりと進めていくことが農業を支えていく、多様な農家を支えていく出発点になると思っています。

 3番目として、米の生産調整を政府主導に戻し、需給を安定化させる。これはまさにこの9年近くの間、安倍政権で壊されてしまったものであります。新しい仕組みもプラス面があることは知っております。しかし、需給調整を最終的に政府が主導して責任を持たなければ、結局は価格の乱高下を生み、農家の皆さんが米生産を持続的に進めていくことはできないというのがこの間の結論だと思っております。
 政府備蓄米の枠の拡大で過剰在庫を市場から隔離することで米の価格を安定化させ、需給関係についても中長期的に安定的に進めていけるようにするため、こういう生産調整の仕組みを取り戻してまいります。

 4番目として、漁業収入安定化対策と資源管理の実効性強化。資源管理についてはこの間、やはり安倍政権のもとで一種の規制緩和をする方向で実効性の不安なども出ていますし、一部の大きな漁業者に対して一方的に有利ではないかという声も出ています。
 資源管理はわが国の漁業について不可欠なものでありますが、国が責任をもって、しかも公平なもので、実効あるものを進めていかなければなりません。漁業収入は──農業もそうですが、農業以上に──水産業は自然状況や収穫高の乱高下が大きい中での安定対策をさらに充実させなければならないと思っております。

 5番目として、林業、木材の安定供給と国産材の利活用の促進であります。農業も水産業もそうなんですが、特に林業は環境保護と林業振興を一体的に推進をしていくことが必要だと思っています。林業の振興ということで進めてきたことが、逆に自然を破壊をするというか、手を加えすぎて逆に土砂災害等につながっているケースもあります。
 一方で木材価格が安定しませんと、長期にわたる計画的な生産が必要なところで日本の林業を守っていくことはできません。環境保護と林業振興を一体的に両立する形でしっかりと政府が主導していく体制をつくり、国産材の利活用を促進することまで含めて、環境保護と林業振興を一体的な推進の中で進めてまいりたいと思っています。

 6番目は地産地消を軸とした「自然エネルギー立国」の推進であります。「自然エネルギー立国」については、他のエネルギー関連の分野とともに改めて、さらに1項目立てて皆さんに発表、説明していきたいと思っておりますが、太陽光だけではなくて、風力や小水力などを含めて、地域の中でエネルギーを生み出し、地域の中で消費をする。エネルギーに対する支出を地域から外に出さなくてすむ、こういう構造をつくっていくことが地域に雇用を生む、あるいは地域にお金を残す。外に出さない。そして地域が自立的に回っていくための一助になっていくと思っております。
 これは、地域のためだけではなくて、分散させたエネルギー構造の方が災害リスクに強いことはこの間、北海道の胆振東部地震のブラックアウト等で見られるように、エネルギーは分散化されていた方がリスクは小さい。こうした社会全体にも大きなプラスをもたらします。言うまでもなく、「自然エネルギー立国」を目指すことは日本の国際社会の中での生き残りを図る道だと思っております。

 7番目として、現実的実効的な人口減少抑制策の推進ということで、街頭演説ではいったんお話させていただきました。まずはベーシックサービスの充実による雇用の確保。介護、医療、保育、子育て支援、そして公の教育。地域の実情に応じて必要なサービスをしっかりと安定的な雇用で作り出すということ。全部国が出しているお金ですから、しっかりとそのための財源を確保して、地域に命と暮らしを支えるベーシックな、基礎的なサービスを提供し、そこに仕事場を作っていく。
 2つ目には、5G通信環境の整備。地域でも都会にいるのと同じように情報にアクセスできることは特に若い世代が地域に暮らし続けることに必要なことです。その一方で、これも街頭演説で申し上げましたが、単なるハードの充実だけでは十分に活かせません。過疎地域ほど高齢化率が高いという中で、高齢者の皆さんもその恩恵に預かられるようなサポート体制、このことをセットにして、本当の意味での環境の整備になると思っています。これを進めてまいりたい。
 それから地方公共交通機関の支援です。コロナがあって、地方の公共交通機関がますます傷んでおりますが、高齢化の中で高齢者のドライバーの皆さんに免許を自主返納などが求められているこの時代に、どこに住んでいても、たとえば病院と、あるいは最低限の買い物などにしっかりと公的な移動の手段を確保しなければ、地域に住み続けることができません。地方交通機関をしっかりと支援していくことを国の政策として進めてまいります。
 そして、地方国公立大学の機能強化です。幸いなことに47都道府県に国立大学があります。こうした所がそれぞれの地域の課題にしっかりと対応する。そして、なかなか都会に、引っ越し代、下宿代、その他の費用を考えると親の負担が大きい中で、より身近な地域の国公立大学でも十分に学びたいことが学べる環境を整えていくことが、地域でも子育てできるし、またそうした地方国公立大学が地域と結びついた役割を大きく果たせるようになれば──昨日、実はナシ農家との話の中で、ナシの被害に対する農薬について、育てている品種の規模が小さいので、なかなか大手の農薬メーカーが対応してくれないと。こうした課題は地域にたくさんあると思います──こうしたことに対応できるように国公立大学に対する交付金を大幅に充実させることを進めてまいります。
 そして、郵便局ネットワークの活用であります。実は今や、全国津々浦々、一番残っているのは郵便局だと思います。小学校すら統廃合されていく状況で、実は農協、漁協などの支店もなくなってしまっている中で、郵便局だけが残っているところが全国に多々あります。やはりこのネットワークは、単なる民間企業の、あるいは外資系金融機関の金儲けの道具にさせてはいけません。せっかく150年間積み重ねてきた郵便局ネットワークの力を、地域を守り、活かしていく拠点として私たちは、公的な役割をしっかりと位置付け、それにふさわしい郵政事業に戻していきたい、転換をしていきたいと思っております。

 最後に自治体の裁量で使い道が決められる一括交付金。7番目までのテーマについて個別のお金もしっかり出していきますが、それぞれの地域が自由に使えるお金をいかに確保していくかが、結局はそれぞれの地域の持ち味を活かせるかどうかの決め手だと思っていますので、一括交付金をもう一度復活させて、今度こそ定着させたいと思っています。

 私たちはこうした政策を中心にして、地域を守り、地域を活かす、そうした新しい政治を実現してまいりたいと思っています。

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 政策発表に関する質疑の要旨は次のとおりです。

Q) 今回の政策を東京ではなくて、地方で発表した狙い。自民党の農業、地域政策との違いは。戸別所得補償制度を訴えての手応えは

 せっかく地域政策について発表させていただくのを東京からやるよりは、まさに地域からやらせていただいた方が適切だろうと。そしてちょうどタイミング的に、この新潟で、これもそれぞれの陣営との相談の上でありますが、昨日今日と農業の現場、そして農家の皆さんの声を聞かせていただきましたから、その流れの中でというタイミングがつくれましたので、それが一番ふさわいしいのではないかと思っています。

 自民党との違いはやはりこの間、規制を取っ払って、競争すれば1次産業が良くなると、こういうまさに時代遅れというか、間違ったことの延長線上でしかないという状況。そしてもう1つあるとすれば、やはり多種多様な経営形態がある。農業にしても、林業にしても、それから水産業にしても。その多様性をしっかりと認めて、小さな1次産業の皆さんでも、小さいなりにしっかりと回していける。そうしたことのきめ細かさは自民党にはこの間、全く感じられない。ここが大きな、裏表かもしれませんが、違いだと思います。

 戸別所得補償制度、われわれは自信をもって訴えてきていますが、実際に昨日、今日と農家の皆さんと話をさせていただく中で、これに対して、10年ほど前の評価は高いし、期待は大きいということでさらに自信を深めています。

Q) 農家との意見交換会でも話が出ていたが、戸別所得補償制度の法制化を目指すか

 もちろんこれは恒久的な制度にすることで農家の皆さんも、たとえば後継者の問題などについても中長期的な見通しが大事だと思います。ですので出来るだけ早く恒久化したいと、法制化したいと思っていますが、国会を通さなければ法律は通りません。ただ、戸別所得補償制度そのものは予算措置等でできますので、まずは米の価格の下落などで足元苦しんでいるところを支える予算措置をしっかりとやった上で、できるだけ早く法制化を実現したいと思っています。

Q)一連の政策を通じてどのような地域を目指すのかイメージを教えてほしい

 とにかく日本中どこに住んでいても──極端に離島で1人とか1家族で住んでいらっしゃるみたいな特殊な例はあるかもしれませんが──一般的には日本中どこに住んでいても、あるいは今集落が残っているどこの集落に住んでいても、命と暮らしの最低限の安心はしっかりと国が保障している地方をつくっていく。それがあるからこそ初めて、地方の持ち味も活かして、伸ばしていくことができる。医療とか介護とか教育とか、そのベースがしっかりしていないところで伸ばせというのは順番が逆だ。私たちはまず、安心をしっかりと取り戻していきます。

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