衆院厚生労働委員会で15日、閉会中審査がおこなわれ、立憲民主党の4番手として川内博史議員が質問に立ちました。川内議員は、新型コロナウイルスワクチンへの異物混入問題、8月に自宅で亡くなった陽性者が増えた問題などを取り上げました。
川内議員は、自身が接種したワクチンが金属破片が混入していたモデルナ社製のワクチンと同じロットだったと明かした上で、「ワクチンに対する信頼性は今後、さまざまワクチン政策を進めていく上で大変重要」との認識を示し、「モデルナ社の金属片の入った異物混入ワクチンは『医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律』(薬機法)に違反するワクチンということでよろしいでしょうか」とただしました。田村憲久厚生労働大臣は、「薬機法第56条7号で『異物が混入し、又は付着している医薬品』の製造販売が禁止されており、今回異物混入が判明したワクチンに関しては流通自体この規定に抵触すると考えられる」と認めました。
質疑を通して、(1)厚労省職員は異物が混入したワクチンを実際に見ておらず、製薬会社の調査の報告を待っていること(2)日本で発見された異物混入ワクチンはモデルナ社と武田薬品工業のほか、国立医薬品食品衛生研究所において調査分析をしていること――が分かりました。
川内議員は「金属片が接触で異物が目視できない状況になっているバイアルがあるかもしれないので、ロット全体を調査する必要があるのではないか」「異物が混入していたロットに当たっていた方が50万人くらいると聞いているので、その方たちの心配を払拭するためにもぜひお願いをしたい」と要請しました。
また、ファイザー社製のワクチンに白い浮遊物が鎌倉市の接種会場で見つかったとの報道について尋ねると、厚生労働省は、報道され件について、異物かどうかについて厚労省に報告はあったかを尋ねました。厚労省は、ファイザー社を通じて事実確認が取れているとした上で、(1)ワクチンの成分に由来する白い浮遊物が発生するという可能性があるということは審査報告書にも記載されており、そのことで品質に問題はないということも確認している(2)さらに使用上の注意において、念のため白い浮遊物が発生した場合は使用しないように注意喚起をおこなっている(3)今回の報道以前にも白い浮遊物が発生したことがあったが、いずれもワクチンの成分であることを確認している――と説明しました。
川内議員は、「(今回見つかった)白い浮遊物がワクチンの成分に由来するものか、そうでないものなのかということについて調査中ということだが、なるべく早い段階でのご公表をいただきたい」と求めました。
次に、警察庁が集計した新型コロナウイルス陽性死体取扱状況を取り上げ、政府が軽症者は原則自宅療養だという方針を8月に発表し、実行に移してから、自宅で亡くなられた方が増えていることを危惧しました。また、警察の統計で東京都で8月に自宅で遺体で発見された方(陽性死体)は86人だったのに対し、厚生労働省がHER-SYS(新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム)で把握した東京都における8月の検案の場所が自宅として報告されている人数は6人で、把握している人数に大きな違いがあると疑問を呈しました。
続いて、政府アドバイザリー・ボードでの感染状況の評価に自宅で亡くなられるようなことがあってはならないというようなことは書かれていないと指摘し、「軽症者であっても急変してお亡くなりになる場合がままあるということを考えると、感染状況の評価の資料にきちんと書かなければいけないのではないか。警察の資料を参考にアドバイザリー・ボードで議論してほしい」とただしました。
アドバイザリー・ボード座長の脇田隆字国立感染研究所長は、「われわれとしては今後、自宅療養中の死亡については件数、経過等を適切に把握し、議論をおこない、必要に応じて資料に書き込んでいく」と答弁しました。
また、政府が8月に軽症者の自宅療養方針を決めた時には政府分科会に意見を聞かなかったことを取り上げ、第6波に向けて政府が分科会、専門家とよく相談するよう約束するよう求めました。田村大臣は、「しっかり調整をしていきながら、方針を示してまいりたい。ただ、医療も限界がある。一時10万人を超える(自宅)療養者がおられたが、そういう方々が全員どこかに入るということはなかなか難しい話なので、必要な方が入れる体制をどうつくっていくかが大変重要だと思っている。分科会ともしっかり相談しながら進めていく」と答弁しました。これに対し川内議員は、「大臣は必要な人と言われたが、私は希望する人が集団的な療養施設等に入れるようにすることが重要だと思う」と述べ、質疑を終えました。