緊急事態宣言を受け「菅政権の統治能力と責任感の欠如が明確になった」枝野代表

 枝野幸男代表は8日、政府が東京都に4度目となる緊急事態宣言を出すことを決定したことを受け、国会内で記者団の取材に応じました。

 枝野代表は冒頭、以下のように発言しました。

 東京都に4回目の緊急事態宣言が発発令されることになった。すでにリバウンドの兆候が見られ、「時期尚早」とわれわれが強く反対する中で6月20日に解除してから、わずか3週間での再宣言。実は2度目の宣言の際も同様に「時期尚早」との反対を振り切って解除し、このときは4週間で3度目の宣言に至った。同じ失敗を何の工夫も努力もなく繰り返すことは、統治能力、政権担当能力の欠如と言わざるを得ない。

 飲食店をはじめとする影響を受けている事業者の皆さんにとっては、8月22日までの間で丸々7カ月間、緊急事態宣言かまん延防止措置等が出ている状態になる。もはや耐えられる状況ではない。飲食店だけでなく幅広い事業が大変厳しい影響を受けている。影響を受けている幅広い事業者が事業継続できるよう、持続化給付金をバージョンアップして再給付する。われわれはもうすでに具体的に提案している。このような形で幅広い、広範な補償を急ぎ断行する必要がある。強く求める。

 また、仕事を失うなどして困窮状態にある方への支援も急ぎ必要だ。自民党の一部からは選挙の公約にして、選挙後の補正(予算)でという声もあるそうだが、そんなことでは到底間に合わない。立憲民主党など野党は、すでに3月に所得の少ない皆さんなどに対する10万円の給付について法案を提出している。補正を待つ必要はない。急ぎ予備費を使ってでも手当てをするべき。これも強く求めていきたい。

 多くの皆さんにさらに1カ月にわたって我慢をお願いすることになる。そのなかで、オリパラだけがなにごともないかのように実施されるのは到底理解できない。コロナにうちかった証としてのオリンピックではなく、コロナ禍での緊急事態宣言下での五輪になる。

 また、「命を守れないのであれば当然やめる」と、菅総理は党首討論でもおっしゃった。緊急事態宣言を出さざるを得なくなったということは、東京の医療のひっ迫が具体的な危険として存在しているということであり、党首討論での総理の発言にしたがって、今からでも遅くはない。中止または延期をIOCなどに対して強く求めて交渉すべきだと主張する。

 これは、2年延期ではなく1年延期と決めた政府与党の判断ミスだ。また、オリンピックを何としても実施したいと、おっしゃる一方でこの1年近く、水際対策の徹底や検査の拡大、あるいはワクチン接種を急ぐなどといった対策を十分にとってこなかった、その失敗の表れだと思っている。

 立憲民主党が訴え、ニュージーランドや台湾などで成功してきた「zeroコロナ戦略」をとり、水際対策の徹底や検査の大幅な拡大、感染ルートの把握・確認などを進めていれば、ここまでの感染状況は防げたと確信している。私たちの非力で「zeroコロナ戦略」を採用させることができなかったことははなはだ残念であり国民の皆さまにお詫び申し上げたい。

 なお、切り札と称するワクチン接種についても、十分な説明がない中で「急げ、急げ」と現場に負担だけを強いて混乱をしているのが現在の状況だ。今回の緊急事態宣言が効果をもたらすためにも、国民の理解と納得が不可欠である。しかし、その国民の理解と納得を得るための意欲すら欠いている現状では、十分な効果をもたらすことは残念ながら期待できない。総理は自らの言葉で国民に向かって説明し、説得すべきであり、本日の議院運営委員会に出てきていないことも含めて、当事者意識、責任感の欠如は明白だ。多くの国民は統治能力と責任感の欠如が明確になった菅政権に対しあきれ返っていると受け止めている。

 われわれとしては、一日も早くこれに代わる危機管理をしっかりとおこなう、まっとうな政権で、あたりまえの日常を一日も早く取り返す。そのためにさらに努力をしていく。

 現状、政府与党は速やかに臨時国会を召集し、今私が指摘をした点などについて国民の前で十分に説明し、また議論をすべきだ。

 また、補正予算の編成を含めて事業者支援、生活困窮者支援、さらには医療支援などについて、予備費にとどまらずさらに大規模かつ迅速な対応をすべきである。

 今開くべきはオリンピックではなく臨時国会であり、それによって「国民と命を暮らしを守る」ことに政府は専念すべきであると強く求めたい。

 質疑応答では、具体的にどのような点について「政権担当能力がない」と考えるのか、立憲民主党だったらどのように対応するのかと質問がありました。

 これに対し枝野代表は、政府の問題点として(1)宣言などが十分な効果をもたらすために必要な、事業者の皆さんが事業を継続できる十分な補償がセットになっていないこと。そのために「事業を再開をしたい」という現場の声に応える形で早すぎる解除をし、結果的に事業者の皆さんにさらに大きな迷惑かけていること(2)司令塔機能がまったく機能せず全省庁でのオールジャパンの体制になっていないこと。それぞれの役所、大臣がばらばらで動いているために整合性のとれない政策になり、結果として十分な感染抑制ができていないこと(3)短期間での感染の封じ込めに成功している国がおこなっている、国民の十分な理解と納得、協力を得るために必要な、国民と対話をする姿勢が徹底的に欠けていること──の3点を列挙。「われわれは間違いなく今の政権より政権担当能力ある」と述べました。

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https://cdp-japan.jp/news/20210708_1774

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