福山哲郎幹事長らは22日、国会内でフラワーデモ呼びかけ人の方々から性犯罪に関する刑法改正について申し入れを受けました。党側からほかに泉健太政務調査会長、ジェンダー平等推進本部の徳永エリ本部長代行、打越さく良事務局長が出席しました。
冒頭、フラワーデモ呼びかけ人の北原みのりさんは、立憲民主党の議員の本多平直議員の性交同意年齢に関する発言に対して強い怒りと絶望の声が届いていることを受け、立憲民主党への申し入れ書をとりまとめたと説明し、申し入れ書を読み上げました。申し入れ書は、「ひとりの国会議員の認識といった問題ではないことも顕在化しました。人権を尊重し、ジェンダー平等の実現を綱領に掲げる立憲民主党の性犯罪刑法に対する姿勢が今、強く問われています」との認識を示し、被害者中心の刑法改正への道筋をつけるため、(1)立憲民主党方針の明確化(2)被害者の声を聴く勉強会等の開催(3)本多議員発言の調査結果の公開と、性暴力容認発言再発防止の徹底(4)性犯罪法改正を選挙公約に――を求めるものです。
同じく呼びかけ人の松尾亜紀子さんからは「この2年間、私たちは性暴力被害者の声を聴いてきて、すごく感じているのは被害者たちは『あなたは悪くない』ということはずっと言われてきていて、それはもちろんそうだが、フラワーデモで声を上げる被害者の皆さんがとても望んでいるのは、加害者に『あなたはとても悪いことをした』ときっちり伝える社会をつくってほしいということ。その一念で、皆さんフラワーデモで自分の被害を訴えられているのだと思う。憲法であったり、刑法であったり、法律を考える際にはその思いを汲んでいただきたい」との要請がありました。
これに対し泉政調会長は、「立憲民主党は人権問題、ジェンダー問題に取り組んできた党だと思っており、だからこそ、これからもその姿勢でやっていきたいということで、皆さま方から意見を伺って、今年の2月、ジェンダー平等推進本部でもご意見を聞かせていただく機会をつくってやってきていた。しかし、それが党内に浸透しきれていなかったということ。そして多くの皆さまに、こういう発言で残念な思いをさせてしまっているということは、われわれまだまだ努力不足であるという認識を持たねばならない」と反省の弁を述べました。また、「私は政調会長として、われわれとしての立場を、たとえば法律の専門家からすれば難しいと言われる問題があるけれども、党としての立場をしっかり出していくんだという思いでワーキングチームをつくった経緯がある」と語り、ワーキングチーム、法務部会を経て「党の政調として責任をもって結論を出していくということで、2つの提言という形で立憲民主党の態度を明確にさせていただいた」と報告しました。
そして「これからも引き続き、一人ひとり党に所属する議員が、また仲間たちが、一つひとつの発言の態度、姿勢を含めて、いろいろな方に寄り添った議論ができるような、そういう人物であらなければいけないと思っているので、今日は皆さんとしっかり意見交換をさせていただきたい」と述べました。
福山幹事長は、今回の問題は党としても大変重大な、党の信頼にかかわる問題だとし、「本多議員の発言は、被害当事者から見れば全く考えられないようなものだったと考えている」と述べました。ジェンダー平等を掲げている政党として、セクハラ、パワハラなどあらゆるハラスメントに対応するために第三者機関であるハラスメント防止対策委員会を設置していることを説明し、同委員会に今回の問題について(1)党内のワーキングチームの議論については、具体的にどういう経緯でこういった発言があったのかについての調査(2)党内で性暴力犯罪について被害当事者の方の問題も含めて、どういった形で認識を共有するかについて、どういう講師から話を聞き、どういうやり方で進めればよいか──を諮問し、調査が進んでいると言及しました。
本日の申し入れについては「真摯に受け止めさせていただいて、お話を承りながら、党として何ができるのかについて議論して、そして皆さんにきちんと見える形で、党内でこの申し入れをどのように受け止めたかについてお答えをしていきたいと思っている」と述べました。
その後、中学生の時に性犯罪被害にあった石田郁子さんから性犯罪被害者の方々におこなったアンケートから分かった被害の実態や深刻さ等についてお話を伺い、立憲民主党内での議論、刑法改正についての党の考え方、この問題に取り組む姿勢等について意見交換しました。
意見交換会の中で徳永本部長代行は、「今回のことで被害者の方々を傷つけてしまったことは大変残念で、お詫びしたい」と述べ、10日にジェンダー平等推進本部が発表したコメントを紹介しました。コメントについて、「成人は『いかなる理由をもっても』中学生以下を性犯罪の対象にしてはならない、という部分にこだわった」と強調しました。「立憲民主党は刑法改正にけっして消極的ではない。しっかりやっていかなければいけないと思っている」と述べました。