参院議院運営委員会は21日、政府が沖縄県に5月23日から6月20日まで緊急事態宣言を発出する意向について、西村康稔経済再生担当大臣から報告を受け、質疑を行ないました。立憲民主党から木戸口英司議員が質問に立ちました。

 西村大臣は、沖縄県について新規感染者数が非常に多いとともに伸び率も大きく、病床の使用率など複数の基準でステージ4を上回っていることから緊急事態宣言を発令すべきことが政府分科会で了承され、飲食店での酒類提供停止や、観光客などの県外からの来県自粛など強い措置が必要であると説明しました。一方、愛媛県については、ほとんどの基準がステージ2となり、感染状況が落ち着いたとみられることからまん延防止重点措置の適用期間を前倒しして22日で解除する意向を示しました。また、感染力の強さが指摘されるインドで確認された変異株について「最大限の警戒感を持って対応していかなければならない」と述べ、分科会では水際対策、抗体検査等の拡充、まん延防止等重点措置の柔軟な適用等を実施べきとの意見が出たと報告しました。

 木戸口議員は「4月5日に大阪府、兵庫県、宮城県にまん延防止等重点措置が適用されてから今日まで約1カ月半が経ったが、重点措置、宣言発令が繰り返されており、今日で8回目」と指摘し、後手後手にまわっている政府の対応に苦言を呈しました。
 沖縄県について、5月14日の分科会の時点ですでに多くの指標がステージ4だったと述べ、(1)県からの要請に関わらず政府として早期に緊急事態宣言を発出する検討はなされなかったのか(2)北海道、沖縄ではゴールデンウィークに県外からの来県があり感染が広がったとの見方があるが、県をまたぐ移動を避けてほしいというメッセージが国民に十分に伝わっていたか(3)厳しさが増す地域経済をどのようにとらえ支援を行なうのか――を尋ねました。
 西村大臣は、「沖縄県は4月半ばから連休にかけては感染者数の減少傾向が見られていた。大型連休で例年よりは少ないもののかなりの方が訪れて、連休後急速に感染が拡大し、2日前の19日に玉城知事から緊急事態宣言の要請を受けた。政府としては沖縄県の要請に迅速に対応したと思っている。酒類の停止等は知事の判断でできるのでやっていただきたい。今回は1日最大20万円、月額換算で600万円までの協力金を事業規模に応じておこなう仕組みをつくっているので活用してほしい」と述べました。
 これに対し木戸口議員は、事業者への自粛要請について地元のそれぞれの事情の中で対応していると指摘し、政府にはその対応を批判するのではなく「後押しをする、支える、そして宣言の発令、解除はしっかりと寄り添ってやっていただきたい」と要請しました。

 また、政府が前日の方針を転換し、14日に北海道、広島県、岡山県に緊急事態宣言を発令したことを取り上げ、「専門家からの反対で方針転換を余儀なくされた。新聞にも『政府、認識甘く急転』『政府と専門家、温度差露呈』『政府の機能不全あらわに』『政府案、甘さ露呈』といった厳しい記事が躍った。政府の認識は甘かったのではないか」とただしました。
 西村大臣は、「私自身、専門家の何人かとは緊密に毎日1時間くらい情報を分析したり、ご意見を伺っている。極めて強い危機感を共有し、対策を強化すべきというところは完全に一致していた。ただ、知事たちからの要請、状況を分析した上でまん延防止等措置がよいのではないかと考えてお諮りしたところ、専門家から変異株の懸念、実態の数字はもっと悪いとの現場の声、とくに北海道の厳しい状況を抑えるには緊急事態宣言という言葉、そういうメッセージが必要だという指摘があり、総理の下で相談し、専門家の意見を尊重し、最終的に判断した」と釈明しました。
 木戸口議員は、専門家の意見が尊重されたことは良かったが「大臣は連日、尾身分科会会長らと意見交換をしているそうだが、それでも方針転換が起きたのであれば、西村大臣が専門家の意見・意向を聞き入れなかったのか、あるいは大臣が専門家の意向を聞いていなかったのか、理解していなかったのか、あるいは大臣は宣言の必要性を専門家と共有をしながら宣言を出すことに慎重な菅総理に進言することをためらったのか、このどれかしか考えられない」と追及しました。
 西村大臣は「感染症の専門家から見る絵姿に加えて、政府として関係省庁を含めて、全体としてどういう案を諮問するか、どういう対策をとっていくか、政府内さまざまな意見のある中で調整した」と言及するにとどまりました。これに対し木戸口議員は「最終的に決定するのは政治だ。専門家と政治の間の関係性、責任、役割について昨年からずっと大臣と内閣委員会で議論してきた。緊急事態宣言が出る、まん延防止等重点措置が適用される、解除されるということは国民にとって大きなこと」と述べ、政府の判断が右往左往することがないよう姿勢を改めるよう求めました。

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https://cdp-japan.jp/news/20210521_1403