「とりもどそう!民主主義、立憲主義―2021平和といのちと人権を!5.3憲法大行動」が3日、国会議事堂正門前で開催され、枝野幸男代表がリモートで参加し、次の通りスピーチしました。

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 私たちは、74年間、この日本国憲法を土台とした中で、平和で豊かな社会をつくり上げて来ました。しかし、この1年ほど、日本社会は大変危機的な状況に追い込まれています。感染症そのもので命を失われた方が1万人を超えました。その中には、きちんとした対応がなされていたら救えた命も少なからずあったはずです。今、大阪で問題になっているように、医療そのものが受けられないという、先進国であったはずの日本で、とても信じられないようなことが現に起こっています。

 そして、この間、休業や自粛等の要請、景気の悪化によって事業を継続できなくなった方、仕事を失われた方。そして、その結果として、大変な困窮状況の中にある方が異常な数、増えてしまっています。その中には、特に女性を中心に、自ら命を絶たれる方もいらっしゃいます。

 今やはり、憲法記念日に問わなければいけないのは、日本国憲法第25条だと思います。『すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する』。その最低限度の生活を営む権利が完全に脅かされている。この第25条には2項があります。『国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない』。この義務を残念ながら今の日本の政治は果たしていない。まずは足元の感染症の危機にあって、憲法第25条を実践する。この憲法第25条の趣旨に基づいた政治を取り戻して行くということが、われわれに課されている大きな、大きな役割だと確信をしています。

 この感染症の危機との関係では、もう1点触れなくてはいけないことがあります。日本国憲法に緊急事態条項がないことをもって、必要な感染拡大防止策がとれていないのだという暴論を吐く人が残念ながら少なからずいます。私権の制限ができないのは憲法のせいだと言っている人たちです。しかし、既に感染症法、あるいは新型インフルエンザ等対策特措法をこのCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)に援用する中でも、さまざまな私権の制限はなされています。そして、日本国憲法でも感染防止のために必要な私権の制限は 公共の福祉にかなうものとして認められています。けっして、憲法の制約があるために必要な対策が打てていないわけではない。必要な対策が打てていないのは、政府が事態を根拠なく、楽観論に基づき、そして命や暮らしを守るということを最優先にしない、その政策判断、政治判断が感染症対策に不十分な結果をもたらしている。そのことを、全く関係ない憲法のせいに押し付けているというそのこと自体が、憲法の問題としても、感染症対策としても許されることではないと思っています。

 公共の福祉にかなうための私権制限は、現行憲法でも許されている。ただ、政府は憲法第29条でも保障されている財産権を制約する際には正当な補償が必要である。その正当な補償をケチる、その正当な補償を出したくない。実際に出して来ないから倒産、廃業等が相次いでいるわけですけれども、そのことが必要な対策を遅らせている。しっかりと自粛と補償はセットで行うという憲法第29条の趣旨にかなうならば、感染症対策はずっと、ずっと効果的なものを進めていけるということを確信しています。

 最後に、ご参加いただいている方に、ぜひ私から1点呼びかけさせていただきたいと思っています。「この憲法が国民に保障する自由及び権利は国民の不断の努力によってこれを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ」これが憲法第12条です。言うまでもなく、憲法は公権力の担い手に対する制約制度ですから、この憲法第12条は国民の皆さんに法的な、何か強制をするものではありません。しかし、まさに今、日本の足元では、この憲法に定める自由や権利が脅かされている。それを守っていくためには、そのことに気付いておられる、不安を持っておられる、そうした皆さんの不断の努力が今こそ必要な時だと思っています。もちろん、政治の現場にいる私たちも頑張ります。しかし、まさに憲法は国民のもの。国民が私たちも含めた公の権力に対して命令をするもの。その主体である多くの国民の皆さんがこの日本国憲法が保障する自由と権利を保持するために、更なる不断の努力を共に進めていただきますよう、お願いを申し上げて、立憲民主党を代表しての連帯のスピーチとさせていただきます。共に頑張ってまいりましょう。ありがとうございました。

 集会では立憲野党の代表者があいさつしたほか、東京大学名誉教授の小森陽一さん、作家の雨宮処凛さん、神奈川大学教授の羽場久美子さん、日本体育大学教授の清水雅彦さん、前法政大学総長の田中優子さん、法政大学教授の山口二郎さんらがスピーチをおこないました。

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雨宮処凛さん
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田中優子さん
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山口二郎さん

https://cdp-japan.jp/news/20210503_1301