枝野幸男代表は10日、新型コロナウイルスのワクチン接種体制について、早期の課題解決のために自治体現場からオンラインでヒアリングをおこないました。ヒアリングには、全日本自治団体労働組合の林政策局長、小林連帯活動局長に参加いただき、党・新型コロナウイルス感染症対策本部長の逢坂誠二衆院議員と一緒に意見交換を行いました。
出席者からはまず、現在の状況について、(1)ワクチンの供給量、供給時期などの基本的事項が未確定な状況のまま、自治体に準備をさせている(2)当初、自治体に示した経費(交付金)ではまったく足らず、追加措置が行われた(3)政府と日本医師会との調整がなく、医師会との調整が自治体に丸投げされている(4)集団接種を行うとの方針に基づき準備を進めていたが、その後、個別接種も柱とする指示もあり方針にブレが生じている(5)さらにマイナンバーの活用の話も出てきている――といった、自治体の現場では相当な混乱が生じているとの報告がありました。
また、(1)現在は次年度予算審議のタイミングに重なり、ワクチン接種関係の予算編成に早急に対応する必要が生じているが、不確定要素が多く困っている(2)ワクチン接種自体にも流動的要素が多く、いきなり変わる「前提条件」のもとで医師会や医療機関との調整をしている(3)そうした状況でシステム改修、コールセンター体制構築、接種に必要なワクチン・クーポン券の印刷などの委託・発注に迫られている――と、現場の具体的な問題点が語られました。
さらに出席者からは、状況の改善のために次の要望がありました。
(1)政府はワクチン供給量と時期を明示し、責任をもって計画を立ててもらいたい
自治体が現実的な準備が可能なように、多少時間を要したとしても、確定した情報でプランニングしてもらいたい。
(2)政府が日本医師会と協議し、決めたことを単位医師会に示してもらいたい
個別接種を中心とするのであれば、これまでの協議をいったん白紙にし、よりスムーズな接種をめざす。集団接種は、被接種者に初めて対応する医師の予診と副反応への負担が大きく、自治体、医療機関、専門人材への負担も大きい。
(3)自治体が一切持ち出しを必要としない仕組みを講じてもらいたい
(4)報道が先行しない仕組みづくりが、現場では死活的に重要
「前提条件」を崩す報道が先行してなされないよう、厚生労働省による情報の一元管理を。
(5)現場混乱と煩雑原因となるマイナンバーの活用は絶対にやめたほうが良い
予防接種台帳のシステム改修を自治体に提示した後にマイナンバーの活用の話が出てきている。
その後、枝野代表、逢坂議員と意見交換を行い、流動的な状況の中で、エピペン(アナフィラキシー症状の進行を一時的に緩和し、ショックを防ぐための補助治療剤)の囲い込みがおこなわれている状況や、基礎疾患を持っている方やかかりつけ医のいる方は集団接種よりも、個別接種の方が対処しやすいがそれが途中から急浮上してきていると言った指摘、集団接種の際、問診票へのサイン漏れがあった場合にどう解決するかなど、ワクチン接種の実施に関連してまだまだ残された課題が多くあることが提起されました。
終わりに、逢坂議員は(1)ワクチン供給の開始時期と安定的な供給を引き続き政府に求めていく(2)国の問題点を指摘することも大事だが、自治体の現場は与えられたミッションを確実に達成する使命感があるので、そうした現場の皆さんがオペレーションを行えるように全力を注ぐことが党の基本姿勢である――と語りました。
枝野代表は、10年前の東日本大震災時に省庁を横断する組織をつくり、生活支援を行った経験から、地域の状況を分かっている総務省の職員と厚労省などで省庁横断のチームつくり対応すべきだと政府に求めていくと語りました。また、状況の変化に応じて、今回のようなヒアリングや個別に提起をしていただきたいと話しました。