泉健太政務調査会長は4日午前、国会内で記者会見をおこない(1)zeroコロナ戦略の提案(2)改正特措法の成立と運用上の課題(3)ワクチン接種(4)厚労省の接触確認アプリCOCOA(5)児童手当の削減(6)ミャンマー情勢(7)森オリパラ組織委員長の女性蔑視発言――等について発言しました。
■zeroコロナ戦略
予算委員会で新型コロナウイルス感染症対策として、zeroコロナ戦略を提案し、政府に採用するように求めて行く考えを示しました。「zeroコロナ戦略の方が最終的には経済のコストも少ないし、経済の立ち上がりも早い。そして何より国民の命が救われる。このzeroコロナ戦略とは大きく言って3つで、(1)医療の現場の支援(3)感染の封じ込め(3)暮らしと事業の支援――。この3つを重点的に訴えていきたい。新型コロナウイルス関連の倒産も1000件を超えると言い、今回の緊急事態宣言の延長でGDPも落ち込むと言われている」
「私たちが危惧するのは、いわゆる感染のぶり返し。早い段階で新規感染者数と病床数ということで、政府側はどうも昨年の緊急事態宣言の解除の時より患者数が多い段階で解除することを想定しているようだが、そうするとそのうちに感染拡大がまた生じてしまうかもしれない。今朝も海外の報道を見ていると、ワクチンの有効性、高齢者の方の死亡率を抑制するのに疑問を持つ部分もある。いわゆるワクチン神話に頼り過ぎてはいけないのではないかと思う。慎重に、さまざまな変異株の問題を含めて、感染防止策を当面徹底をしていくべきだと考えている。中途半端な形で経済を再開すると後々、大変なことになれば、政府・総理がめざしているオリンピックも事実上、難しくなってしまうのではないか。もし、真剣にオリンピック開催ということを政府が考えているのであれば、今回感染をしっかり収束させる取り組みをしていくべきだ」と述べました。
zeroコロナをいつまでに達成することを想定しているのか時期を問われ「感染防止策、検査の拡充、その裏で経済支援をしっかり実施する。そうしたことを全部おこなえば夏に入る前頃にzeroコロナにできるのではないかと思っている」と語りました。
■特措法・感染症法改正
昨日成立した改正新型インフルエンザ等対策特別措置法について、「われわれはそもそも刑事罰、行政罰を撤回すべきだということだったが、最終的には刑事罰を撤回ということになり、百点ではないが、少数野党の限界だった。委員会でも審議されたが、事業者の規模別の支援が足りないこと、国会の関与の要件が不十分なこと、何よりも過料の運用について極めて慎重でなければいけないことを引き続き求めていく。そして、過料が設けられたからといって決して現場が改善されることにはならないので、引き続き問題意識をもって運用を注視していきたい」と述べました。
■ワクチン接種、接触確認アプリCOCOA
政務調査会にワクチンPT(プロジェクトチーム)を設置し、政府のワクチン接種の進め方について、自治体や関係者からの要望を聞き、現場の声を政府に上げていく考えを示しました。「河野大臣がワクチン担当大臣に就任したことで、これまで想定していたスケジュールに変更が生じるのではないかということで、自治体は指示待ち状態になっている。しかし、現場ではクーポンの発送やさまざまな作業をしなければいけない状況になっている。そうした中で、たとえば接種記録の管理などについて政府が早く方針を決めなければ、まったく手が打てない」と懸念を示しました。
厚生労働省の接触確認アプリCOCOAのうちアンドロイド版が機能していなかった問題について「私も昨年7月からアンドロイド版を使っていたが、1回も作動したことがなく、日付の記録だけがついていた。これは感染防止策のためにあったものなのに、逆に本来防止しなければいけなかった局面でこれが作動していなかったのなら、マイナスの働きをしてしまった可能性が強いのではないか。新しいシステムを導入することは極めて危険もあるので、ワクチンの接種記録にマイナンバー、クラウドを使う想定をしていると聞くが、さまざまなシステムのバグ、問題をしっかり解消してもらう必要がある」と述べました。
■児童手当の削減
政府が児童手当特例給付について一定の年収以上の世帯での廃止を盛り込んだ法案を閣議決定したことについて「非常に問題で立憲民主党としては大反対。そもそも子育て予算の中で奪い合いをするなという話だ。少子化対策は党派を超えた国家的課題であるにもかかわらず、これだけ子育て支援、少子化対策に後ろ向きなメッセージを発した政権はないのではないか。安倍政権でさえ幼児教育無償化を進めてきた。菅政権は、いよいよ本当にまさかの児童手当の削減に踏み切ってしまった。私は、坂本少子化対策担当大臣は何をしているのかと思う。絶対に撤回をさせなければいけないと思っている」と強調しました。
■ミャンマー情勢
ミャンマーのクーデターが発生したことについて「アウン・サン・スー・チー氏を含め、拘束されている方たちの即時解放を求める。ミャンマー国内の民主化の支援、日本国内におられるミャンマー人ネットワークから意見聴取をしていきたい。また、日本政府はミャンマーの在留邦人、企業に対して安全確保を期すとともに、世界のとくに自由主義国と協調してクーデターを元に戻し、軍政による政権運営は許さないという圧力を強めていくべきだ」と語りました。
■森喜朗オリパラ組織委員会会長の発言
森会長が、日本オリンピック委員会が女性理事を増やすことについて「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」「女性を増やす場合は発言の時間もある程度は規制しておかないと、なかなか終わらないので困る(と、誰が言ったかは言わないが、そんなこともある)」などと発言したことについて泉政調会長は、「とんでもない発言。女性蔑視で、意思決定への女性の参加やリーダーシップを阻むもの。日本国内以上に世界のメディアはこうした発言に非常に敏感だ。東京オリンピックのトップがこうした発言をしたことで、東京オリンピックに対するイメージも大きく傷つくし、日本における女性参加、そして日本が男女同権の国であるということを世界に発信することにおいて非常にマイナスになると言わざるを得ない。世界ではこうした発言は性差別だと言われるものであり、非常に問題だ」と語り、森会長は身を引くべきだとの考えを示しました。
https://cdp-japan.jp/news/20210204_0663