21日、菅義偉総理の施政方針演説など政府4演説に対する代表質問が参院本会議で行われました。会派を代表し、立憲民主党から水岡俊一議員が登壇しました。水岡議員は、(1)羽田議員死去とPCR検査の拡充(2)ワクチン接種の進め方(3)格差是正のできる税制改正(4)阪神・淡路大震災26年後の教訓(コロナ禍の避難所)(5)政治とカネ(6)カジノ誘致問題に関わる住民投票(7)被爆国としての責務(核兵器禁止条約)(8)イージス・アショアの代替案(9)35人学級の課題(10)文科省GIGAスクール構想と子どもの健康(11)教育費用支援と情報周知(12)気候変動――など幅広いテーマについて、政府の姿勢をただしました。
冒頭、水岡議員は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)問題を取り上げました。昨年末、新型コロナウイルス感染症に罹患し急逝した羽田雄一郎前参議院幹事長が、PCR検査に向かう途中で亡くなったことから、菅総理に対し「羽田議員のように、迅速にPCR検査を受けられない方々がいるという現実をどう考えているのか」「PCR検査を拡充すべきだとお考えなのか。それとも、医療ひっ迫を防ぐためとして検査は、今程度にとどめておくほうが良いと考えているのか」と、PCR検査に対する政府の基本姿勢を問いただしました。
新型コロナウイルスに対するワクチンについては、「2020年が『マスクの年』だとしたら、2021年は『ワクチンの年』になるかもしれない」というジャーナリストの言葉を引用しながら、「全国民分のワクチンは確保できるのか。ワクチン接種の優先順位はどのようにつけ、どこで誰が打つのか」と、政府の方針をただしました。さらに「コロナ禍によって、貧困世帯の増加や高所得層と低所得層の二極化など、日本が抱えていたさまざまな問題や格差などが顕在化している」として、格差是正のため、所得再分配機能を発揮できる抜本的な税制改正の実行を求めました。また水岡議員自身が阪神・淡路大震災で被災した経験から、このコロナ禍における避難所のあり方について触れ、「『感染症拡大下の避難所』では、従来とどのような部分で運営方法を変更する必要があるのか」と問いただしました。
これらの質問に対し、菅総理はPCR検査について「PCR検査の拡充に努めるとともに、保健所による積極的疫学調査や専門家によるクラスター対策に基づいて感染拡大の防止を図っていきたい」、新型コロナワクチンについて「全体として3.1億回分のワクチンを確保できる見込み。まずは医療従事者、高齢者、基礎疾患を有する方、高齢者施設等の従事者から順次始め、市町村が用意する施設などにおいて接種を開始することになる」、震災の教訓として「阪神・淡路大震災以降、政府としては迅速な初動対応やボランティアと協力したきめ細かな被災者支援など、さまざまな教訓を踏まえた対応を行っている。引き続き災害対応に万全を期していく」などと、それぞれ答弁しました。
続いて水岡議員はこのコロナ禍に関連し、教育問題について取り上げました。40年ぶりに小学校で35人学級へと改革が進んでいることについては、「極めて大きな意義がある」と一定の評価をしたものの、近年深刻化している教員不足について政府がどのように応える用意があるのか、菅総理をただしました。また子どものデジタル端末への依存が進む中で、いまの子どもたちの視力が昔の子どもに比べて極端に悪くなっていることについて、政府の認識を問いただす一方で、教育資金の工面の仕方をまとめた小冊子(※)をNPO法人が作成し、全国の高校に配布したことに関連し、教育費の問題を抱える子どもたちへの支援情報を、国が責任をもって周知していく考えがないのか政府をただしました。
※ NPO法人キッズドアによって作成された小冊子「子どもの夢をかなえる『お金』の準備方法」
さらに水岡議員は、菅総理のお膝元である横浜市が誘致を進めているカジノを含むIR(統合型リゾート施設)についても取り上げました。誘致に関する住民投票の実施を求める署名が規定の3倍以上も集まったにもかかわらず、住民投票実施のための条例案が自民・公明両党の議員の反対により市議会で否決されたことについて、地元選出の議員として菅総理の見解をただしました。しかし残念ながら、この件について菅総理からは「各自治体の判断により(誘致)申請の準備が行われる」と、はぐらかしたような答弁しかありませんでした。
https://cdp-japan.jp/news/20210121_0556