立憲民主党は12日厚生労働省を訪れ、緊急事態宣言再発令に合わせた労働者の所得補償制度の拡充等を求める申し入れ(下記要望書PDF参照)を田村憲久厚生労働大臣に行いました。今回の申し入れは、東京、千葉、埼玉、神奈川の1都3県に加え、13日には大阪、京都、兵庫の3府県に緊急事態宣言が再発令されることにより、さらに多くの事業者で経営が困難になり、労働者の休業や解雇・雇い止めが増大することが危惧されることから、雇用の維持と、失業・休業させられた労働者の生活支援のため、各種支援施策の期間延長の決定・公表を求めるものです。
要望は、(1)雇用調整助成金の特例措置について、現行のままの特例措置を少なくとも4月末まで延長することを直ちに決定し、周知を徹底すること(2)休業支援金・給付金についても少なくとも4月末まで延長すること。併せて、2020年4月から9月の休業分について、申請期限を3月末までに延長すること(3)休業支援金・給付金について、労働者が雇用されている企業の規模要件を緩和し、少なくとも従業員500人未満の大企業の労働者を支給対象とすること。また、厚生労働省から休業手当の支給を文書にて要請している大企業については、当該企業の対応状況を速やかに把握し、休業手当を支給されない当該企業の労働者、特にシフト制や日々雇用の労働者などの非正規労働者は、休業支援金・給付金の対象とすること――をはじめ8項目を盛り込んでいます。
田村大臣は、緊急事態宣言の再発令により雇用情勢がさらに厳しくなるとの認識を示し、雇用調整助成金の特例措置の延長などについて早急に検討する考えを明示。COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の影響によって休業になったにもかかわらず、企業から休業手当が支払われない労働者がいることには、支払いを促す趣旨で今般、大企業の助成率を最大100%に引き上げたと説明し、支給されていない企業等に対しては今後厳しく言うと応じました。
要望事項
1.雇用調整助成金の特例措置について、すでに2月末以降の特例措置の縮小を見込み労働者を解雇雇い止め予告する動きが出ており、今後それが加速する恐れがあるため、現行のままの特例措置を少なくとも4月末まで延長することを直ちに決定し、周知を徹底すること。
2.休業支援金・給付金についても、現在の2月末までとされている制度を雇用調整助成金と同様に、少なくとも4月末までの延長を行うこと。併せて、現在、申請期限が2021年1月末までとされている2020年4月から9月の休業分について、申請期限を3月末までに延長すること。
3.休業支援金・給付金について、労働者が雇用されている企業の規模要件を緩和し、少なくとも従業員500人未満の大企業の労働者を支給対象とすること。また、厚生労働省から休業手当の支給を文書にて要請している大企業については、当該企業の対応状況を速やかに把握し、要請に対応していない場合は、企業名の公表を行うとともに、休業手当を支給されない当該企業の労働者、特にシフト制や日々雇用の労働者など(例:ホテル配ぜん人等)の非正規労働者は、休業支援金・給付金の対象とすること。
4.雇用保険の基本手当(いわゆる通常の失業給付)について、賃金日額の算定期間から新型コロナ感染拡大の影響による賃金減少期間を除外するとともに、給付額の支給割合を臨時的に引上げ、所定給付日数の緊急事態宣言の発令に合わせた延長を行うこと。
5.店舗の休業廃業などにより解雇雇い止めされながら、雇用保険給付の対象とならない非正規労働者(大企業等において日々雇用で働いていた労働者や休業支援金・給付金の支給要件に合致しない労働者、新たな派遣先が手当てされない登録型派遣労働者や自己都合退職を余儀なくされたシフト勤務労働者など)にも減収補償のため、休業支援金・給付金の要件緩和による対象拡大等を通じ、雇用の継続を前提としない給付を行えるようにすること。
6.求職者支援制度について、本年1月から政令で定める月までの期間、職業訓練受講給付金の受給を申請/受給(継続者を含む)する者について、受給要件の緩和、給付金額の大幅な引き上げ(本人や世帯の月収を考慮した給付金の追加給付)、寄宿手当や通所手当の給付額の増額(実費支給など)を行うとともに、オンライン受講の場合の通信費など受講に必要な費用の手当てなどを行うこと。
7.生活福祉資金貸付制度の緊急小口資金及び総合支援資金の特例貸付(延長貸付を含む)について、特例の適用期間をさらに延長するとともに、すでに上限まで貸付を受け、なお生活再建が困難な方々が引き続き特例貸付を利用できるよう、月数上限の延長を行うとともに、償還免除の対象拡大を行うこと。併せて、住居確保給付金についても、支給対象期間の延長を行うとともに、支給額の拡充を行うこと。
8.菅総理は1月8日のテレビ番組で、「パート、非正規含めて雇用調整助成金は、しっかりやらさせてもらいたい」と約束された。そうであれば、助成率100%にしてもなお雇用調整助成金を支払わない大企業が出た場合は、菅総理の責任において必ず支払わせて頂くか、そうでなければ国が代わって休業支援金の支給を実行していただきたい。
申し入れには、厚労部会長の長妻昭衆院議員、山井和則衆院議員、塩村あやか参院議員が参加しました。
申し入れ後、記者団の取材に応じた長妻部会長は、2月末までとしている雇用調整助成金の特例措置について、労働者の解雇・雇止めの予告の動きが進むなか早急に延長する方針を決定してもらいたいと強調。また、緊急事態宣言再発令により、飲食店などが夜8時までの時短営業になったことで予定していた勤務シフトと差が生じる部分について、休業支援金や給付金の支給対象になることを知らない方が多いことから、その周知徹底とともに、2月末までとしている制度の延長を特に強く求めたと報告。「いずれ延長するのであれば早めにメッセージを出してもらわないと解雇が続発しかねないと申し上げた。1カ月前から解雇の予告が始まる。われわれも労働者団体などからヒアリングすると『雇用調整助成金の延長が2月末までだから、それ以降はなかなか雇えない』という理由で解雇通告が始まっている。延長そのものの発信を早めにしてほしい」と述べました。
塩村議員は、厚労省が8日、雇用調整助成金について、緊急事態宣言の対象地域で、営業時間の短縮に応じた飲食店などが対象に、大企業の助成率も最大100%に引き上げると発表したことを受け、「大企業の人たちにも何かしらの支援が出るのではないかと期待している」などとコメント。
山井議員は、「(雇用調整助成金により)休業手当か休業支援金のどちらかの対象には必ずなると田村大臣は明言された」と強調した上で、そのなかで唯一、大企業の飲食店が穴になってしまう可能性があり、注視していく必要があると指摘しました。
これに関連して長妻議員は「まるまる仕事をしないのが休業というイメージがあるが、2、3時間の労働時間の短縮や、週1日だけ仕事がなくなるケースも支援の対象になる」と述べ、対象になる方はしっかり申請してほしいとアピールしました。
緊急事態宣言再発令に合わせた雇用調整助成金、休業支援金・給付金の延長等、労働者の所得補償制度の拡充等を求める要望書(2021年1月12日).pdf
https://cdp-japan.jp/news/20210112_0503