【政府与野党協議会】予備費10兆円は足りていない予算に転用、オリンピック関連予算など不要不急の計上済の予算の見直しを求める

政府・与野党は4日夕、新型コロナウイルス対策政府・与野党連絡協議会の第11回目の会合を国会内で開催。立憲民主党から逢坂誠二政務調査会長が出席しました。

 会議の冒頭、各会派からの要望を行い、意見交換を行いました。共同会派「立国社」は、以下の要望を提出しました。

新型コロナウイルス対策等に関する要望事項

2020年6月4日
立憲民主党
国民民主党
社会保障を立て直す国民会議
社会民主党

(1)10兆円の予備費は、その規模の大きさや財政民主主義の観点から問題であり、その使途について、我々の要望内容を取り入れ、速やかに明確化すること。また、今後、必要に応じて第3次補正予算を編成すること。

(2)オリンピック関連予算をはじめとする不要不急の既計上予算について見直すこと。

(3)持続化給付金やGoToキャンペーンをはじめとする各種事業の受託事業者の選定過程や事業実施体制・実施状況等について、説明責任を果たすとともに、委託費の削減を図ること。

(4)マスク着用による健康面への影響等について、国民に混乱をきたさないよう周知・広報するとともに、夏季のマスク着用でも健康影響の少ない新素材の開発・普及を進めること。

(5)PCR検査については今後も検査能力及び検査実施件数の拡大を図ること。唾液を用いたPCR検査を普及させ、必要な検査キットの供給体制を整備すること。

(6)課税対象となるあらゆる業種の個人・団体について、分け隔てなく持続化給付金、税の減免、融資等の対象とすること。

(7)自動車関連諸税など各種税や社会保険料等のさらなる減免を行うこと。

(8)地方創生臨時交付金については、その額を5兆円とするとともに、自由度を高くし、交付手続も簡易・迅速なものとすること。

(9)持続化給付金については、給付上限額の大幅増額を行うとともに、支給要件の緩和(現行50%以上の売り上げ減少率を30%以上にする等)を行うこと。

(10)中小企業等の返済の猶予や返済期間の延長、金利の減免などの条件緩和要望には誠実に対応することを金融機関に求める立法(モラトリアム法)について検討すること。

(11)時限的に公益法人・一般法人等も信用保証制度の対象とするとともに、日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付については中小企業事業(融資上限3億円)の対象とすること。

(12)新しい生活様式の導入に伴い、顧客減や収容人数減などで十分な収入が確保できない事業者に支援すること。

(13)経営環境が悪化している、歯科を含む医療機関等を支えるための新たな給付金を創設すること。

(14)医療崩壊を防ぐためにも、次の流行期のインフルエンザワクチン接種については、希望する全ての人が無償で受けられるようにすること。また、そのために必要なワクチンを確保すること。

(15)保育所や学童保育で働く者に対しても慰労金を支給すること。

(16)認可外保育園について、登園自粛した保護者の保育料の軽減措置を講じること。

(17)移動の自粛により、公共交通機関の経営が極めて厳しい状況にあることに鑑み、需要回復に至るまでの支援策を講ずること。また、事業規模に関わらず、固定資産税や航空機燃料税、着陸料などの減免を行うこと。

(18)活動の縮小や停止を余儀なくされている文化芸術関係者や関連業種従事者への支援について、支援対象を拡大し、予算を大幅増額すること。

(19)特に収入が減少した個人に対して追加給付を行うための費用を計上すること。

(20)児童扶養手当受給者に対して、半年間、児童扶養手当の額(全部支給の額)に相当する額の臨時特別給付金を支給すること。

(21)新型コロナウイルス感染症対応休業支援金については、対象をすべての企業とし、賃金が大きく減少したすべての労働者に対して支給すること。また、失業給付の上限額を遡って15000円程度に引き上げること。

(22)雇用調整助成金については、企業の規模を問わず、減収が著しい事業者については、助成率を10/10とすること。

(23)学校の再開に際して、新しい生活様式の導入に必要十分な教員や指導員などの人材の確保を行うと同時に、必要な備品の確保、施設・設備の改修支援を行い、学びの機会を保障すること。

(24)学生支援については、野党提出法案の趣旨を踏まえ、授業料の半額を免除すること。奨学金については、返還が困難な者に対し、今年度分の返還を免除すること。

(25)持続化給付金、雇用調整助成金、無利子無担保融資の手続について簡素で迅速なものとなっているかを検証し、専門家活用などにより早急に改善すること。

 終了後、共同会派と共産の出席者が記者団の取材に応じました。逢坂政調会長は、(1)10兆円の予備費[要望事項1](2)オリンピック関連予算をはじめとする不要不急の既に計上済の予算の見直し[要望事項2](3)持続化給付金やGoToキャンペーンなどの委託費の選定過程などの透明化と説明責任を果たすことと、委託費の削減[要望事項3](4)公益法人、一般法人等を信用保証制度の対象に、また政策金融公庫の貸付の対象にすべき[要望事項11]―について特出しして説明したことを報告しました。

 また、政府は医療機関や福祉施設、交通機関に対しての損失補てんについて言及していないことについて「このままでは、医療機関は診療が続けられず、福祉施設も閉鎖せざるを得ない。(交通機関についても、)地方の特にバス路線やタクシー会社も、バス路線の廃止しないと会社がもたないといったところもある」と指摘しました[要望事項14、17など]。

 記者からの主な質問とその回答(要旨)は以下のとおりです。

Q:予備費、持続化給付金、GoToキャンペーン、委託費の透明化、それぞれの問題について、具体的にどのようなところが問題だと伝えたか、それに対する反応は

 10兆の予備費について、予備費はある一定程度、必要なことは理解はしている。だがしかし予備費をたくさん積まなければならないのは、実は3、4月の時点。その方が不確実性が高かったはず。今回やるべき手法がある程度決まってきているので、これほど多額の額を予備費に積むことはまかりならない。

 ではどうすればいいか。いま緊急性の高い予算で、計上できる予算が足りないものがある。それに早く転用すること。仮に予備費を残すにしても、どの分野に予備費を使う見込みがあるかを明示すること。実際に予備費を使うにあたっては、予算委員会で議論するか、何らかの形で国会の監視がきくように工夫をする。こうした必要があるのではないかと話をさせていただいた。

 これに対して、与党はいろいろな話をしていましたが、やはり予見可能性がはっきりしない、2週間後に何が起こるかわからない、そのためにとってあると。それから、例えば給付費に使うといった話が出ていました。

 持続化給付金とGoTOキャンペーンの事務費については、言葉は正確ではありませんが、与党も問題視しているように私は受け止めました。

Q:予備費10兆円は減額など求めていくという声も出ていますが、このまま予算審議に入った時に組み換え動議を出すなど、予算委員会の対応については

 ある一定規模、われわれは必要だと思ってます。いま出されている予算以外にも必要だと思ってる項目がありますので、それに10兆を組み替えていくことを基本に考えてまいりたい。

 いまの段階では組み換えを提出する方向で最終調整中ということです。

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https://cdp-japan.jp/news/20200604_3053

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